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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第一章 〜再会と出会い〜
その九
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寄せ付けない雰囲気を持ちながら、どこか寂しげだった。当時はまだ“開門”前。神族や魔族の存在なんてあくまで物語の中だけのものでしかなかった。半分だけとはいえ、神族の血を引き、魔力を持つ柳哉が異端視されるのはごく自然な成り行きと言える。さらに当時の柳哉はまだ幼く、自身の持つ魔力の制御がうまくいかず、一種のポルターガイスト現象を起こすこともあった。実際それが原因で化け物呼ばわりされたからというのが光陽町に転居してきた理由であった。

「別に稟達のことを信用してなかったわけじゃない。でもやっぱり不安はあったからな」

 結局話さないまま光陽町を離れることになったわけだ。

「そうか、悪かったな」

「その、すみませんでした」

「何言ってる、謝るのはむしろ俺のほうだって」

 と、(ふところ)から懐中時計を取り出し、時間を確認する。

「ん? もしかしてそれは魔法具かい?」

 樹が時計を指差す。

「ああ、父さんの形見でもある」

「少し見せていただいてもよろしいですか?」

 頷き、ネリネに時計を渡す。

「お父様、亡くなられておられるのですか?」

「ええ、三年前に」

 カレハの問いに暗くならないようにと明るめに返す。と、わあ、という歓声が上がる。時計を見ていたシアとネリネだ。どうした、と聞く稟にシアが答える。

「すごいよこの時計」

「はい、これほどの物は魔界にもそんなにありませんよ」

「そんなにすごいのですか?」

 麻弓が時計を眺めている。よく見れば意匠こそ若干古めかしいものの、アンティークショップに持って行けば結構な値が付きそうなぐらい凝った作りをしている。

「やらんぞ」

「あはは……」

「目が泳いでるよ、麻弓」

「う、うるさいのですよ」

 それはさておき。

「いったい誰の作品なんでしょうか?」

「うん、ちょっと気になるね」

 “開門”以来、人界で最も発展した技術の一つが魔法具である。人界に移住してきた神族や魔族の魔法具職人によってその技術が伝えられ、人族の使う魔法“錬金術”の発展にも大きく貢献した。
 と、柳哉が苦笑して言った。

「稟や楓はその本人と会ってるんだがな」

「へ?」

「え?」

「俺の父さんだよ」

 一拍おいて、

「マジか?」

「本当ですか?」

「事実だ」

「ということはお父さんが神族なの?」

 シアの問いに(かぶり)を振る柳哉。

「母さんのほうが神族。まあいわゆる“神隠し”で人界(こっち)に来て、右も左も分からず彷徨ってるところを父さんに保護されたってわけ」
 
 かつて何らかの原因・要因により、異なる世界へ渡ってしまった、あるいはこの世界
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