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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
6.104訓練分隊U
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罠の場所や諸々の情報は持っているな?」
「頭に入ってる。連絡は15分置きで、何かあったらその都度連絡する。」
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仮想敵を務める帝国陸軍大隊の隊長、石橋少佐はイラついていた。石橋は古参の陸軍兵士で、大陸でBETAと戦った経験もある。大陸に派遣されても歩兵の仕事は兵站の維持と基地防衛が主任務である。ゆえに多くの歩兵は未だBETAとの戦闘を経験していない。ヨーロッパや中東、インド、中国といった最前線の歩兵部隊は幾度となく戦闘しているが、期間限定で派遣される帝国軍の歩兵はBETAの姿を座学でしか習っていないのが現状である。
石橋は衛士というものを嫌っていた。いや、石橋だけでなく多くの歩兵は衛士を嫌っている。衛士適正という才能があるだけで訓練兵のころから特別待遇を受け、血のにじむよな思いで得た士官という地位をすぐに与えられ、自分たちには到底与えられないであろう高価な兵器を与えられ、戦場では戦術機という鎧に包まれた状態で戦い、国民からはヒーロー扱い。物価が上がり日々の食事が貧しくなる中で、衛士だけは高カロリーでバランスのとれた三食が保障されている。にも関わらず多くのBETAを討ち逃し、その尻拭いは他人任せ。高給取りの無駄飯ぐらい。それが石橋の衛士に対する評価だった。
彼とて実際に戦場で戦ってきた熟練の兵士。戦術機も、それを扱う衛士も大事であることは分かる。しかし日々感じる待遇差と、生身でBETAと戦った記憶が衛士を嫌悪させた。
しかも今回は自分の大隊に衛士候補生の演習につき合わせるという。それだけでも腹がたつのに、それに加えて自分たちの装備は模擬刀のみという。これほど自分たちを馬鹿にした話はない。その意図は透けて見える。自分たちにBETAのまねごとをやらせようというのだ。全くもってふざけた話だ。上の命令は絶対だから従うが、こんな任務を真面目に取り組めるわけがない。適当にやろう。そう考えていた。
セオリー通り主戦力となる中隊と、索敵偵察に当てる小隊を編成し進軍。訓練兵がまともな教練を受けているのなら北の高台に拠点を張るだろうが、一週間という期間を考えるとまずは演習場の地理の把握が優先される。下手をすれば一日がそれで終わってしまうことも考えられるが、戦闘になればあっという間に片がつく。そう考えていたとき、森に銃声が響いた。
機関銃の音、つまり部隊が接敵し攻撃を受けたということだ。
「状況を報告しろ!」
「はっ!展開していた偵察小隊が敵のアンブッシュを受けたようです。損耗は軽微、死亡認定は二人です。」
「二人か、少ないな…。敵の数は?」
「確認されているのは一人のようです。」
もし一人で来たとするなら二つの可能性がある。一つは敵の斥候がたまたま接敵したこと。もう一つは攪乱作戦の一環であること
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