暁 〜小説投稿サイト〜
MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
6.104訓練分隊U
[1/5]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
6.104訓練分隊U
演習が開始して直ぐ104分隊全員で話し合いが行われた。
「さて、今日から一週間あるわけだが、どうやって合格するか作戦を立てよう。」
「計画って言ってもこの演習の場合そんなに考えることないんじゃないか?敵に見つからないように隠れて、戦って勝てそうだったら戦えばいい。生き残れば勝ちなんだから。」
「そんな簡単に行くわけないだろ。俺たち一回落ちてるんだぜ?もっとしっかり考えようや。」
「でももらった指令に具体的な指示はないし、結局臨機応変ってことにならないか?」
「「「うーん…。」」」
この総戦技演習の難しいところの一つは指示の具体性が低いことだった。到達目標は『生き残る』。その一点に尽きる。これまでの総戦技演習では『○○を回収し目的地に△△までに辿り着け』といったように指示が出されるので、それに合わせて作戦を考えれば良かった。その時々の判断はともかく、大筋はすでに決まっているものだったのだ。しかし今回はそれがない。すべて訓練兵に託されているのである。
この曖昧な目標は、後に衛士になりBETAと戦うことになったときに必要とされるものだった。BETAとの戦いは、敵の行動が予測できないために状況の変化が激しい。それに対して細かい指示までトップダウンの命令系統にしてしまうと対応できなくなる。そのため現場の衛士には、作戦の目標を正しく理解した上で状況に合わせて独自の判断で動くことと同時に、周りと足並みを揃えることも要求されるのである。訓練校では軍という特殊な環境に順応させるために旧来の指示系統を徹底していたが、それにさえ馴染んでしまえば『自分で判断することができる力』がより重要なのである。
「うーん…田上、何かプランはないか?」
「俺はまず陣取りが大事だと思う。接敵まではまだ時間があるだろうから地理を確認して、迎撃に有利な場所を探そう。」
非常に基本的なことであるが戦闘において地理的条件は勝敗を左右するといって良い。特に今回の相手はほとんど遠距離攻撃の集団がない。たとえば崖の上を陣取ってしまえば、あとは一方的に小銃で狙い打てば終わる。しかし多数を相手取った経験がある巧はこの演習は相当厳しいものになると思えた。
「俺も分隊長に賛成だ。でもいくつか付け加えた方がいいこともある。まず退路の確保。相手は500人だ。一勢にかかってくるとは思えないが、たぶん相手はこちらを包囲してから攻めてくる。いくら銃持ってても囲まれてかかられたらどうにもならない。遮蔽物も多いしな。」
演習会場は山林であり、地形も起伏に富んでいる。障害物が多いこの場所で動き回る敵を小銃で仕留めることを考えると有効射程は100mもない。下手したら50m程度であることも考えられる。その程度の間合いは熟練の歩兵にとっては10秒程度で詰められるだろう。
「一方向から
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ