第七十話 最後の休日
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日、マクシミリアンさまから、贈られてきたのよ」
カトレアはカップにショコラを注ごうとすると、ミシェルが割って入ってきた。
「あ、カトレア様、私が注ぎます」
「いいのよ、楽にしていて」
「しかし……」
「ボートの上では、身分は関係ないでしょ?」
カトレアはミシェルを座らせ全員分のカップにショコラを注いだ。
……
甘いショコラを楽しみながら、四人は談笑を続けていた。
「そう言えば、カトレア様は学院を卒業されたら、王太子殿下の所へ行かれるのですか?」
ショコラの入ったカップを口から離し、ワルドがカトレアに聞いた。
「もちろん、そのつもりよ」
「私も御供をしたいのですが……」
「なんだいミシェル。卒業してもカトレア様に付き従うつもりかい?」
「何よ、悪いの? グラモン」
「こう言っては何だがね、王太子殿下との数年ぶりの再会に、着いて行こうだなんて無粋じゃないか?」
「う……なによグラモン。そういうアンタはどういう進路にするつもりなのよ?」
「父上や兄上は軍隊入りを望んでいるようだったけど、近々、トリスタニアに士官学校が出来るって聞いたし、そこに行こうと思う」
「士官学校? 軍隊じゃなくてか?」
と、ワルドが言う。
「なんでも、軍隊の士官として、高度の教育を施す機関だそうだ。で、ワルド卿は卒業後は領地の経営に邁進するのかい?」
「僕は……そうだな。領地の経営は王宮から派遣された人に任せて、母上の手伝いをしようと思っている」
「ワルド卿の母君は何をされているのです?」
「そうだな……」
ミシェルが聞くと、ワルドは少し考え出した。
ワルド自身、母親がどの様な仕事に従事しているか聞かされていない。
父親が死んで葬儀を終えて以来、狂ったように研究に没頭し一年に一度ぐらいしか家に帰ってなかった。
少々マザコンの気があるワルドは、母親の研究に興味を持ち、その研究の手伝いがしたくて必死に勉強し、魔法学院での成績をトップクラスに維持していた。
「僕にも分からないな。だが、少なくともブリージュ市で何らかの研究をしている事は分かっている」
「ブリージュか。永い事、廃墟だったと聞いていたが、復興をしているみたいだね」
かつて、地殻変動によって廃都となった古都ブリージュは、少しづつだが復興を始めていた。
今では、地殻変動の原因が、後にハルケギニアで起こるとされる大隆起の何かの手がかりになればと、ワルド元夫人の指揮の下、研究が進められていた。
「ミシェル、お代わりはいかが?」
「ありがとうございます。頂きます」
「ミシェルは、卒業したらどうするの?」
「え!?」
「何を驚い
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