第六百十話 考えてみれば不思議その六
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その場面を観てレミはふと言った。
「ふうんでね」
「それで終わりね」
「奥さんが死んでも」
「もうそれどころじゃない」
「そんな風ね」
「これはわかるわ」
レミにしてもだ。
「戦争が近付いていて」
「そっちに神経が集中してるし」
「魔女の予言にも怯えていてね」
「もう奥さんが死んだって聞いても」
「それどころじゃないわね」
ルビーもダイアナも言った。
「これはわかるわ」
「充分にね」
「そうよね」
これはというのだ。
「本当にね」
「よくわかるわ」
「そうよね、けれどこれでね」
レミはまた言った。
「マクベスもね」
「終わり」
「それが確実になったわね」
「自分の半身の奥さんがいなくなって」
「それでね」
「ええ、そうなったのよ」
終わったというのだ。
「その野望も悪事もね」
「ドラマね」
「流石シェークスピアと言うべきか」
「見事なストーリーね」
「そこでそのことが決まるなんて」
二人もレミのその言葉に唸って述べた。
「劇的でね」
「記憶に残るから」
「いいわね」
「今じゃよくあるストーリーだけれど」
「千六百年前にやってるとかね」
「そうね、自分の分身がいなくなって破滅が決定する」
レミも言った。
「しかもそこまでの伏線もね」
「いいわよね」
「バーナムの森にしても」
「帝王切開にしても」
「あと最初の魔女の予言もね」
「いいわね」
「その魔女の予言がね」
レミは最初のそれの話もした。
「いきなりくるわよね」
「マクベスが王になる」
「そして一緒にいる人もね」
「バンクォーはどうしてなのか」
「その伏線をいきなり出すから」
「もうそこでストーリーに引き込まれるわ」
最初の予言でというのだ。
「マクベスは」
「それでここまで進むとね」
「遂にってなるわね」
「マクベスも死ぬって」
「悪人だけれどね、マクベスも奥さんも」
レミはこのことを指摘した。
「はっきり言ったら」
「実際のマクベスは知らないけれど」
それでもとだ、ダイアナも言った。マクベスが実在人物であることはもうマクベスを読めば誰でも知ることだ。
「けれどね」
「シェークスピアのマクベスは悪人でね」
「奥さんもね」
「確かに奥さんの方が悪人でも」
「マクベス自身もね」
このことは否定出来ないとだ、ダイアナも話した。
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