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八条学園騒動記
第六百十話 考えてみれば不思議その四

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「わからないわ」
「どうにもね」
「こんな怖い人傍にいたら嫌だけれど」 
 それでもとだ、ダイアナは言った。
「悪を極めてかえって痛快なのに」
「そんな人が良心あるとか」
「それに苛まれて死ぬとか」
「ちょっとね」
「違う気がするわね」
「極悪人にも良心があった?」
 ルビーは二人に考えながら述べた。
「つまりは」
「いや、そうは見えなかったから」
「ずっとね」
 二人でルビーに返した。
「マクベス夫人って」
「旦那さんを悪事に唆し続けて」
「むしろ旦那さんより遥かに悪い」
「悪の権化みたいなのに」
「それで良心があるとか」
「というか作中そんな風には全く見えないからね」
「そうよね、それまで良心の欠片もなかったのに」
 ルビーはまた言った。
「何で急にそうなって」
「そしてね」
「今みたいになっているのか」
「本当に理解不能ね」
「どうにも」
「私達みたいに言う人多いわね」
 ルビーはこのことを確信していた。
「ここまで凄い悪人に良心があるのかって」
「この前オペラのマクベス歌劇場でやってたから観たけれど」
 ダイアナが言ってきた。
「ヴェルディのね」
「前やってたわね」
「そうだったわね」
「オペラのマクベス夫人原作より邪悪な感じするけれど」
「それでもなのね」
「こうなるのね」
「そう、本当に極悪非道なのに」 
 それでもというのだ。
「良心があるとか」
「ある様に見えないのにね」
「本当に悪魔より悪そうなのに」
「というか悪魔ってただ天使と敵対しているだけで」
「神様とそうなっているだけでね」
 キリスト教ではそうなっている。
「正義かっていうとそうなるしね」
「悪魔もね」
「創作だとそうだし」
「むしろ天使の方が悪い場合もあるし」
 この場合は自分に絶対の正義があり自分達以外の存在を認めず容赦ない行動を取る場合が大抵である。
「悪魔の何処が悪いか」
「しっかり考えるとね」
「そうも言えないわね」
「実は」
「けれど人間は」
 ダイアナはさらに言った。
「もうね」
「邪悪だとね」
「そのものよね」
「むしろ悪魔よりもね」
「邪悪になってるわ」
「それがまさにマクベス夫人で」
 こう二人に話した。
「良心とかね」
「ないってね」
「そう思えるのに」
「悪魔といっても」
 この言葉が冠せられる存在の話をさらにした。
「その実はね」
「悪魔には悪魔の倫理観があって」
 ここでこう言ったのはレミだった。
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