第六百十話 考えてみれば不思議その二
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「ここまで邪悪なキャラクターもね」
「そうそういないわね」
「シェークスピアの作品でも」
「オセローのイヤーゴとかも悪いけれど」
「イヤーゴに負けてないわね」
「互角の勝負が出来るレベルよ」
「イヤーゴは最初優秀な軍人だったみたいだけれど」
作中ではよくいい意味で根っからの軍人だと言われている、少なくとも当初はそうした人間であったのだ。
「出世欲とかコンプレックスとかでね」
「歪んでいってね」
「ああなったのよね」
「イヤーゴの場合はね」
「そうよね」
「それはマクベスも同じで」
夫である彼も最初はそう言われていた。
「それで次第に権力欲で悪に染まっていったけれど」
「マクベス夫人については」
「もうね」
「最初からね」
それこそというのだ。
「邪悪でね」
「もう手段を選ばない」
「邪魔な人はどんどん消す」
「武器を持たない人も容赦しない」
「マクベス唆して殺させるけれど」
「悪事を重ねて」
「高笑いしている感じなのに」
ルビーは思わず首を傾げさせてレミとダイアナに話した。
「何でかしらね」
「良心に苛まれて」
「夢遊病患者みたいになってるのかしら」
「私もわからないわ、もう悪が凄過ぎて」
それでというのだ。
「良心なんかない、もうそこにね」
「そこに?」
「そこにっていうと」
「かえって魅力があって」
悪を極めている故にというのだ、善に魅力があることは事実だが悪にもそれは備わっているということである。
「私は好きなのに」
「あっ、私もマクベス夫人好きよ」
レミもこう言った。
「それもかなりね」
「むしろマスベスよりも魅力的よね」
ダイアナも同意だった。
「マクベス夫人って」
「もうその悪人ぶりがね」
「痛快な位よね」
「権力を求めて野心に燃えてね」
「邪魔者はどんどん消し去るっていうスタイルが」
二人で話した。
「もうとことんよくて」
「悪の魅力全開で」
「カリスマよね」
「文字通り悪のカリスマよ」
「そこに痺れる憧れるよ」
ルビーはここでこの古典的な名台詞を出した。
「誰にも出来ないことを平然とやってのける」
「こうしたお話って結構あるけれどね」
レミは歴史から話した。
「陰謀、暗殺、弾圧、粛清って」
「まあそれはね」
「けれどマクベス夫人って躊躇せず言うから」
「それで旦那さんにやらせるから」
「悪のカリスマで」
「魅力あるまでなのに」
「それが」
今観ている場面でというのだ。
「何で急にこうなるのか」
「わからないわね」
「本当に良心あるとか」
「それが信じられないわ」
「悪のカリスマってやっぱり良心ないのよ」
ダイアナは言い切った。
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