第六百十話 考えてみれば不思議その一
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考えてみれば不思議
レミはこの時ルビーそしてダイアナと共にあるクラスの劇を観ていた、それはマクベスであり丁度夫人が夢遊病の様に出ていた。
その舞台を観てだ、レミは言った。
「何でなのよ」
「何で?」
「何でっていうと?」
「いや、これまであんなに悪いことしていたマクベス夫人がよ」
その彼女がというのだ。
「何で今罪の意識に苛まれてるのよ」
「そういえばこれまで物凄かったわね」
ルビーも言われると、となった。
「もう権力を求めてね」
「旦那さんを急かしてね」
「悪の限りを尽くしてきたわね」
「もう特撮の悪役真っ青の」
そこまでというのだ。
「そうしたことやってきたのに」
「それが急によね」
「罪の意識を出して」
それでというのだ。
「ああなってるのよ」
「これまで罪の意識なんてね」
ルビーはまた言った。
「もう欠片もね」
「ない感じだったでしょ」
「まさに極悪非道で」
「権力の為なら手段を選ばない」
「邪魔者は次々と消すだったのに」
「旦那さんを唆して」
そのうえでというのだ。
「やってきたわね」
「こんな悪い人ってね」
ダイアナも言った。
「確かにそうそういなくて」
「極悪非道よね」
「創作の世界でもね」
「現実でもね」
「流石にね」
「ここまではそうはいないわね」
「間違いなくそうよ」
こうレミに話した。
「悪女の中の悪女よ」
「不倫とかはしなくても」
「いや、ここまで怖い人と不倫は」
「まずしないわね」
「怖過ぎるから」
マクベス夫人がというのだ、実際に舞台を観ている誰もがこの夫人に対してこれまで恐怖を抱いていた。
「ホラーかっていう位」
「実際マクベスってホラーでも通用するわね」
「この奥さんが怖いから」
「幽霊も出るしね」
「けれど」
それでもというのだ。
「その夫人が何でかね」
「急によね」
レミも言った。
「こうなるとか」
「不思議ね」
ダイアナも否定しなかった。
「それまで邪悪そのもので」
「良心なんてね」
「欠片もない」
「そんな風だったのに」
「そうとしか見えなかったのに」
「急に良心に苛まれるとか」
「いや、何処に良心あったのか」
ダイアナはこうも言った。
「これまでね」
「もう邪悪の権化だったわよね」
「もう千数百年前の作品だけれど」
ルビーも真顔で言った。
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