暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第一章 〜再会と出会い〜
その六
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ですか?」

 夕食後、母親である水守(みなかみ)玲亜(れあ)の言葉に長女であり柳哉の妹、水守(みなかみ)(すみれ)が返す。

「ううん、荷物の整理もほぼ終わったし、明日の午前中に行こうかと思って」

「学院には午後から行きますから大丈夫ですよ」

「それじゃ、幹夫さんに連絡しとこうか」

「いいわ、私が連絡するから」

 そう言って玲亜は電話に向かう。

(桜にも連絡しとくか)

 桜と同じストレリチア女学院に転入する菫を気に掛けていて欲しいと昨日頼んだこともあるし、顔合わせをしておくべきだろう。そう思って柳哉は携帯電話を手に取った。


          *     *     *     *     *     *


 光陽町内のとある寺。その中にある墓地にいくつかの人影があった。稟に幹夫・楓の父娘、椿・桜の母娘、そして水守家の三人と住職の九人だ。隣接して立っている土見家と芙蓉家の墓前には新しい花とウイスキーのボトル、板チョコに草餅などが供えられ、辺りにはお経が響いている。水守家の三人は心の内で近況報告をしながら手を合わせていた。
 やがて読経が終わり、住職は一礼して本堂へ戻って行った。しばらくの間、思い出話に花が咲く。再会の挨拶は既に済ませていた。昼近くになり解散しようとしていたその時、水守兄妹が“それ”に気づいた。

「大丈夫ですよ」

「それに、稟も楓も独りじゃありませんから」

 誰もいない方に向けて二人は言った。知らない人が見たら首を傾げるだろう。しかし目には見えないが二人にはしっかりと“そこ”にいるのが感じられた。今なお稟と楓を見守り続ける三人の存在を。
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