第一章
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虐待からの幸せ
ラスベガスの空港にだった。
一匹の白い長めの毛のチワワがいた、空港職員達はそのチワワを見て首を捻った。
「空港に捨てたのか?」
「こんなことははじめてだ」
「空港に犬を捨てるなんて」
「世の中非常識な人がいるな」
「まだ子供だっているのに」
「可哀想に、こんなに怯えて」
「すぐに施設に連絡して保護してもらおう」
職員達はこう話して犬の保護にあたった、そして。
ここで犬の傍に書き置きがあることに気付いた、その書き込みにはこう書いてあった。
「女性の文字で、ですか」
「はい、交際相手がこの子を虐待していて」
「いつも酷いことをしていて」
「飛行機にも乗せて行けなくなった」
「それで仕方なくここに置いたと」
「新しい飼い主を見付けて欲しい」
「そう書いていました」
職員達は連絡を受けて空港に来た動物保護センター、生きものを保護して里親を探して引き渡すそこのスタッフの人に書き置きのことを話した。
「その様に」
「それで、です」
「この子についてですが」
「里親を探してくれませんか」
「勿論です」
これがスタッフの人の返事だった。
「今からそうさせてもらいます、ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「その子、チュウィですね」
「キャウ〜〜ン・・・・・・」
スタッフの人はそのチワワを見た、チワワは怯えた声で鳴いていた。
「その子は雄とのことですが」
「はい、それが何か」
「何かありますか?」
「今うちのセンターに雌ですが似た境遇の娘がいまして」
職員達に曇った顔で話した。
「スノーフレーク、白い大きな耳のふさふさした毛の子犬ですが」
「その子もですか」
「捨てられていたんですか」
「はい、袋に入れて走っている車の窓から放り捨てられました」
そうされていたというのだ。
「幸い飼い主は逮捕されまして命は無事でしたが大怪我をしていて今は治療中です」
「それは酷い」
「生きものを何だと思っているんですか」
「世の中そんな酷い奴もいるんですか」
「最低ですね」
「そんな娘もいます、自分より力の弱い者を虐げる」
暗い顔のままの言葉だった。
「世の中そんな人達もいますね」
「嫌なことですね」
「同じ人間として恥ずかしい限りです」
「そしてこの子もですね」
「虐待をされていたんですね」
「そう思います、この怯え方を見ますと」
今も小さくなって震えている、その様子を見てわかったのだ。
「まさに。ですが私達がです」
「この子を救ってくれますか」
「そうしてくれますか」
「幸せにしてくれますか」
「はい、その為の場所で私達はそこにいますから」
中年の女性のそのスタッフは約束した、そして
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