第六十三話 お家に帰ってその二十四
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「それならね」
「教会で、ですか」
「一度先輩に来て欲しかったし」
私のお家の教会にです。
「だったら教会でね」
「あの人とですね」
「お会いしてね」
「そうさせてもらいます」
阿波野君もこう答えてくれました、私はその阿波野君をずっと案内しながら八条町を歩いていきました、ですが。
阿波野君は歩きながら私に言いました。
「ここって前から思っていましたけれど」
「どうしたの?」
「物凄く広い町ですね」
「実は区というかね」
「八条市でもいい位ですよね」
「実際そこまで広いわ」
私もこう答えました。
「神戸市の中にあるけれどね」
「大きな学校もあって」
それが八条学園です。
「八条グループの本社もあって」
「元々八条財閥があってね」
戦前のお話もしました。
「それでなのよ」
「企業町だったんですね」
「そこからはじまってね」
「今に至るんですね」
「そうよ、八条財閥は八条グループになってね」
戦後の財閥解体でそうなったみたいです、けれど八条家は戦前のまま大きなまま今に至っています。
「それで今も企業町なの」
「そうした町ですね」
「そうよ、私のお家もずっとここにあってね」
明治の頃からです、もうかなり昔です。
「代々ここで教会を持たせてもらってるのよ」
「そうですか、いい町に住んでおられますね」
「そうでしょ、阿波野君もよかったらね」
自然とこの言葉が出ました。
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