第六十三話 お家に帰ってその二十三
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「そうなっていたらね」
「そう思われてですか」
「ええ、長池先輩とね」
「お話してですか」
「あの人のことわかってね」
「いい面もあることを」
「そう、確かに人にはいい面と悪い面があるわ」
このことは事実だと思います。
「そのことはね」
「事実ですよね」
「このことはね」
私もわかっているつもりです。
「どうしても」
「それで、ですか」
「先輩にも悪い面があると思うわ」
私が気付いていないだけで、です。
「阿波野君が言う残酷な一面がね」
「けれどですか」
「いい面もね」
このことは私はよく知っています。
あの一年間、東寮でどれだけよくしてもらったか。色々至らない私を全く怒らないでいつも何度も優しく教えてくれました。だから阿波野君にも自信を以て言えました。
「あるから」
「だからですね」
「先輩のいい面も知って」
「そのうえで、ですね」
「先輩がどういった人か判断してね」
「そうさせてもらいますね」
「ええ、暫く神戸にいるのよね」
このことを確認しました。
「そうよね」
「はい、それで毎日先輩の教会にお邪魔します」
「毎日なのね」
「先輩がおられますから」
「何で私がお話に出るかわからないけれど」
それでもでした。
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