第01部「始動」
第08話
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無理を言ってこちらに来てもらった。そのためにいくつかのカードを切ったが、それで少しでも安心が買えるなら安いものだ。
「本当ですか?」
「ええ。彼女はずっと夢を見ていた気分と言っていたけど一種のコールドスリープ状態だったのかも知れないわね。生体部品として組み込まれてはいたけど、遺跡とリンクさせる為の大事なユニットとして無茶はされてなかったみたい」
言葉に少し棘を感じるが、気のせいと思おう。
「ユリカはどうしている?」
「今は寝ているわ。さっきまで、夢うつつのまま質問に答えていたらそのまま眠ってしまったわ」
「あの…ユリカさんは…」
「…あの子、覚えていなかったわ」
感情を感じさせない冷え切った言葉だった。
「そうですか」
私としてはその言葉に少し安心を覚えてしまった。
「恐らく、拉致されて直ぐに遺跡に組み込まれるために眠らされていたのでしょうね。記憶を残してしまうと、実験に支障が出るかもしれないと考えたのかもね」
「あの…無事、でしょうか?」
ユリカが無事なのは聞いた。その後の、この質問。恐らくは彼のことを言っているのだろう。
彼には同情はする。夢を諦め、今では…
あの事件後の調査で分かった様々な事。その中にあった人体実験の名簿。
その実験内容…
「ええ。今は安定しているわ」
交わされる言葉の節々に違和感を与えながら、やり取りが行われている。
…果たして私がしていることは正しいのか。
彼の事は葬られた。
終わったこととして。
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「おっせえぞアキト!」
「待たせたセイヤさん」
まったく、コイツはいつもマイペースだよな。
「せっかくこの俺様が来てんだ。エステちゃんのご機嫌を見ながら新発明をしたい!!っていうのを抑えて、色々やってんだからよ」
「ああ。感謝している」
アカツキの野郎に呼び出されて来てみれば、またコイツら無茶しやがる。
しかも、アキトの出頭が決まる前に呼び出しやがって…用意周到じゃあねぇか。
口の端が上がるのが分かる。
アイツじゃねぇが、燃えてくる…あん時に戻ったみたいだぜ
「でもよ。本当にやんのか?下手したら…」
「セイヤさんの腕は信用している」
「一言余計だ。は、て何だ。は、て」
スパナでアキトを指す。
俺の後ろにはブラックサレナがおかれている。
ここ数週間の戦闘で、ラムダが整備と点検をしていたみたいだが実際にバラしてみると結構、結構部品に負荷かがかかっていた。
こんな無茶なスペック…本当なら作るつもりはなかった。
アキトの野郎の本気を思い知らされて、俺が求めた事にコイツは泣き言言わなかった。
「そうですね。また迷惑をかけます」
常人じゃ絶対にまともに乗れねぇように仕上がったのに、こいつは乗りこなしやがったんだ。
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