第二章
[8]前話
「こいつはここから動かないんだ」
「十年も」
「ここで」
「飼い主に捨てられた場所でな、犬は飼い主をずっと待つだろ」
「ああ、それはな」
「私達も知ってるわ」
「自分を捨てた奴だってのにな」
口をへの字にしたまま述べた。
「それでもな、可哀想でそして腹が立つことだよ」
「全くだ、飼うなら一生面倒を見ろ」
「家族なのに」
夫婦も老人の話に怒った。
「この子その間どれだけ悲しかったか」
「どれだけ切なかったか」
「そのことを思うとな」
「本当に腹が立つな」
「そうだな、それであんた達どうしてここに来たんだ」
老人は共に怒る夫婦にあらためて問うた。
「一体」
「ああ、それはな」
夫婦は老人にここに来た理由を話した、老人はその話を聞くと彼等に強い声で言った。
「じゃあ頼めるか」
「ああ、こいつは俺達が面倒を見る」
「この十年分幸せにするわ」
「十年面倒を見てくれたあんたの為にもな」
「そうさせてもらうわ」
「頼むな、じゃあ残りのドッグフードはやるからな」
老人はドッグフードを水を食べている犬を見つつ夫婦に応えた。
「こいつを頼んだぜ」
「わかった、じゃあな」
「今から家に連れて行くわ」
夫婦で話してだった。
二人は犬を引き取った、そして獣医に診せると病気もあったがそれは完治するとのことだった。そして暫く通院したが。
雌だったのでソーニャと名付けられた彼女は夫婦にすぐに懐いた、それで妻は家の中で自分達の傍にいる彼女を見つつ夫に話した。
「イスラエルでもストリートレビューで飼ってた犬の画像見付けた人がいたそうよ」
「そうなのか」
「その人犬の画像を持ってなくて残念だったらしいけれど」
それがというのだ。
「そこで手に入れてね」
「喜んでるんだな」
「私もそれでこの娘を見付けてね」
「家族に迎えたしな」
「この娘も救われたし」
「ストリートレビューは凄いな」
「ええ、そう思うわ」
こう夫に述べた。
「だからね」
「これからもな」
「それを使って観ていくわ」
「また誰かが救われるかも知れないからな」
「そうしていくわ」
ソーニャの様な子をもっと作りたい、だからこそとだ。
妻は思いつつ夫に話した、そうしてソーニャの頭を撫でた。するとソーニャは嬉しそうに尻尾を振って応えた。
十年同じ場所で 完
2021・4・20
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