第二章
[8]前話
「この子は絶対に野生ですね、では」
「ジャングルにか」
「そっちに返すのね」
「こちらでそうします、後は任せて下さい」
「ああ、じゃあな」
「お願いするわね」
「はい、ナマケモノも保護が言われていますし」
ナマケモノも生態系の中にある、その為数の減少を警戒されてるのだ。このことは多くの生きものが同じだ。
「保護してくれて有り難うございます」
「いいさ、こっちも好きでやったしな」
「いいことが出来てよかったわ」
夫婦は施設の人に笑顔で応えた、そうしてナマケモノを施設に預けてだった。お互いの連絡先も聞いて。
ドライブを再開して遅い昼食を摂った、それは夫のリクエストでシェラスコだった。
そのシェラスコを食べつつ夫は妻に言った。
「こんなこともあるんだな」
「ええ、まさかね」
妻も応えた。
「ナマケモノを拾うなんて」
「夢にも思わなかったな」
「ああ、けれどな」
それでもとだ、夫は妻に笑顔で話した。
「保護出来てな」
「よかったわね」
「ああ、あのままあそこにいたらな」
夫はシェラスコを食べつつ述べた。
「どうなっていたか」
「車に轢かれていたかもね」
「そうだったかもな」
「そう思うと保護してよかったわ」
妻もシェラスコを食べつつ応えた。
「本当に」
「全くだな、休日に思わぬことがあったけれどな」
「助けられてよかったわね」
「後はあいつが自然に戻ればな」
「いいわね」
「吉報を待つか」
「そうしましょう」
施設からのそれをとだ、こう話してだった。
二人は今は昼食を楽しんだ、そのシェラスコは実に美味かった。
夫婦はこの日は休日を楽しみ翌日は二人共仕事だった。そして夕食の前に夫はメールを確認すると施設の人から来ていた。
そのメールを確認してだ、夫は妻に言った。
「あいつジャングルに戻ったぞ」
「そうなったの」
「ああ、メールが来ていた」
施設の人からというのだ。
「画像を観てもな」
「そうなっていたの」
「ああ、よかったな」
「本当にね、野生の生きものだとね」
「やっぱり野生の中で生きるのが一番だからな」
「ナマケモノもね」
「だったらな」
「ええ、本当によかったわね」
「そうだな、じゃあ食おうか」
夕食をとだ、夫は妻に笑顔で言ってだった。
そうして共に夕食を食べた、この夕食は昨日の昼のシェラスコに負けない位に美味かった。二人にとってはそうだった。
ガードレールのナマケモノ 完
2021・4・20
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