第一章
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犬を救った鳩
アメリカニューヨーク州ロチェスターにある非営利団体、動物を保護して育てて里親も探すその団体はある財団によって運営されている。
その財団を運営しているスー=ロジャース穏やかな顔の白人の老女はその白いふさふさとした毛のチワワを見て言った。
「この子はね」
「はい、サウスカロライナのブリーダーの家で生まれて」
「生まれつきの水頭症で、ですね」
「その影響で後ろ足が動かなくて」
「それで、ですね」
「ブリーダーの人がお願いしますと言ってきました」
その犬をというのだ。
「ですから私達はです」
「はい、この子も助けますね」
「そうしますね」
「そうします、ただ」
ここでだ、スーは。
その犬、ランディと名付けられたまだ生後二ヶ月の雄の彼を見てだ、こう言った。
「この子は後ろ足が動かないので」
「ずっと介護が必要ですね」
「そうですね」
「そのことを理解してくれる飼い主が必要ですね」
「はい、そして」
スーはさらに話した。
「この子は私達以外にも誰かが傍にいる必要があります」
「それは誰か」
「誰についてこの子についてもらいますか?」
「一体誰に」
「ハーマンに頼みましょう」
「クルッ」
丁度横にいた鳩を見た、ここで鳴いたその鳩を見つつ言った。
「そうしましょう」
「ああ、ハーマンですか」
「優しいですし面倒見がいいですし」
「だからですね」
「この子にですね」
「頼みましょう、ハーマンお願いね」
スーはハーマン自身にも頼んだ。
「ランディを護ってあげてね」
「クルック」
ハーマンも応えた、そうしてだった。
ハーマンはいつもランディの傍にいる様になった、ハーマンはずっと施設にいる鳩であったがランディはというと。
里親が探された、新しい家族が見付かるまでハーマンは彼の世話をすることになったが。
言葉はお互いわからない筈なのにだ。
「いつも世話をしていますね」
「片時も離れないで」
「後ろ足が動かない彼に」
「そうしていますね」
「実はです」
スーはここでこう言った。
「ハーマンは雄だと思っていましたが」
「あの献身ぶりと優しさを見ますと」
「母性的なので」
「雌に見えますね」
「左様ですね」
「そう思えてきました」
実際にというのだ。
「どうも」
「そうですよね」
「鳩の性別までわかりませんでしたが」
「見ていますと」
「そう思えてきますね」
「はい、それでなのですが」
スーはさらに言った。
「後ろ足が動けないのでその代わりに」
「はい、車椅子ですね」
「猫用のそれですが」
「チワワだから小さいので」
「ランディにもですね」
「付けてあげましょう」
そう
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