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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第3話:その名はネオライダー
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「お人よしが過ぎるぞ。馬鹿」

「馬鹿じゃありません!」

士と夏海の口論が白熱していく。
言い争う光景に小狼とサクラはおろおろとし始め、ユウスケは「またか」と苦笑いを作る。
黒鋼はどこ吹く様子で呆れ、ファイとモコナは笑みを絶やさない。
二人が落ち着きを取り戻した頃、ふと夏海は悲しみを孕んだ言葉を吐露する。

「それに、自分の記憶を無くすって辛い事じゃないですか」

「……」

夏海の言葉に士はふと思い至った。
かつて記憶喪失だった自分と、思い出を失ったサクラを重ね合わせているのだと。
記憶を失うのは辛い、ましてや自分を誰かだと思い出す旅をしている彼女と脳裏に思い浮かんだのではないかと士は思った。
そうしてやれやれといった感じで夏海へとこう告げた。

「分かったよ、それがこの世界で俺がやるべきことならな」

「……!士君!」

「士、本当にいいのか?俺はいいけどさ」

「うるさい。男に二言はない。こうなった以上、やるだけだ」

ユウスケは士の言った事を撤回はないかと確かめる。
嘘偽りのない本当の事であると小狼の肩を掴んで笑顔を向けて喜びの表情を向ける。

「よかったな小狼!」

「ありがとうございます」

「ありゃりゃー、まあいっかー黒るん。人手は多い方がいいし、彼らの善意で受けとろうか」

「けっ、勝手にしろ。後悔しても知らねーからな」

ファイに話題を振られ、不機嫌になって黒鋼はそっぽを向く。
士は小狼の元へ近づくと、指を指しながら言い放つ。

「それにしても幸運だったな、お前ら」

「え?」

「なんてたってこの俺と出会えたんだからな。手に入れられるのは約束されたと思え」

「……士さん」

「なんだ?」

「案外、いい人なんですね。安心しました」

「ッ!?何言いだすんだお前!」

小狼の言葉に動揺する士。
その様子を見たサクラや夏海は、にこやかな笑顔を浮かべていた。

二つの旅の者達の邂逅による一日は、『サクラの羽根を探す』という同じ目的をやると決めてで終わった。

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