第3話
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簡単な改造を受けたドローンくんは、施設の外の、最初に所長にあいさつをした場所で、彼の両手の上にいました。
「星図と宇宙に関する知識を、ドローンくんの頭に入れておきました。あとは太陽系フリーパスも埋め込んでいます。これがあればどの有人の星に行っても大丈夫ですから」
「ご親切にありがとうございます」
「どうするかは決まりましたか?」
「まずはあの宇宙船が来た星で遊んでみようと思います。そのあとはまた宇宙船に乗せてもらって、ほかの星に行こうかと思います。そのうち地球にも戻ってみようかなと」
ドローンくんの製造年月日だと、もう勤労の義務は適用されません。だから手紙に書かれていたとおり、好きに飛び回って生きていてよいのですよ。その体が朽ちるまで――。
所長からそう聞いて、ドローンくんはそのとおりにする決心をしたのです。
「それはよいですね。これまでの分も思い切り楽しんでください。それがドローンくんに関わったすべての人間の願いであるはずです」
「はい。なんだか申し訳ないですが、それがぼくに求められたことであれば、お言葉に甘えて、楽しんできます」
ドローンくんは所長にお礼を言うと、来たときの宇宙船に乗りました。
所長は、ドローンくんを乗せて遠ざかっていく宇宙船を見つめていました。
「ずっと昔の所長さん。あなたが子供のころに宇宙に逃がしてあげたドローンくん、予言どおりに来ました。あなたが伝えられなかったこと、代わりに伝えられたと思います」
歴代所長に引き継がれてきた仕事を終え、所長はとても満足でした。
「今、我々ロボットが人間とうまく共存できているのは……ドローンくん、あなたのおかげだと聞いています。みんな感謝していますよ」
宇宙船が見えなくなるまで見送ると、所長は施設に戻っていきました。
− 完 −
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