第一章
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孤独な子犬が
マレーシアのある街に住んでいるネチズン=ハメドは家と職場を行き来する中通勤路でずっと街の排水溝のところにいる白い垂れ耳の子犬に気付いた。痩せていて背は高い。黒髪は癖があり黒い目には愛嬌があり顔は細長い。
それで家に帰ってから妻のアディーザ、黒髪にアジア系の顔で日に焼けた肌の彼女に尋ねた。
「排水溝のところに犬いるよな」
「ああ、あそこね」
妻は知っているという返事だった。
「あの白い垂れ耳のね」
「知ってるんだな」
「結構有名なのよ」
妻は夫に答えた。
「あの子は」
「そうなのか」
「ええ、あそこにずっといることでね」
まさにこのことでというのだ。
「結構知られてるの」
「そうなんだな、それじゃあ何でなんだ?」
夫は妻にさらに尋ねた。
「あの犬はずっとあそこにいるんだ?」
「あの子実は親がいたの」
「そうだったのか」
「父親も母親もね」
両親共にいたというのだ。
「それで三匹で路上で暮らしていたのよ」
「そうだったんだな」
「けれどね」
それでもとだ、妻はここで暗い顔になってだった。
そのうえでだ、こう夫に話した。
「父親も母親も数日前にね」
「事故でかい」
「あの場所で亡くなって近所の人達が死体を埋めたけれど」
それでもというのだ。
「あの子はあそこでね」
「ずっとか」
「いるのよ」
「そうか、しかしあそこにずっといるのは可哀想だな」
夫は妻の話を聞いて腕を組んで言った、そのうえでだった。
妻そして子供達を集めてこう言った。
「あの子を引き取らないか?」
「うちでなの」
「犬飼うの?」
「そうするの?」
「そうしないか?あそこにずっといたままじゃ危ないしまともに食べることも寝ることも出来ないだろう」
それでというのだ。
「だからな」
「そうなのね、それじゃあ」
「その子うちに引き取ろう」
「それで一緒に暮らそう」
家族は誰もが賛成した、それでだった。
ネチズンは犬のところに行った、そのうえで彼に声をかけた。
「うちに来るか?ここにずっといても悲しいだけだしな」
「私達と一緒に暮らしましょう」
妻も声をかけた。
「そうしましょう」
「クゥ〜〜ン・・・・・・」
だが子犬は悲しい顔で排水溝の上に蹲ってだった。
そのうえで動かなかった、それで夫婦は何日も根気よく声をかけてだった。
子犬は二人の心がわかったのか一週間程そうしたことが行われてだった、顔を上げた。そのうえで雄だったのでタリーと名付けられてだった。
家族に迎えられた、タリーは一家に可愛がられ幸せに暮らしだしたが。
一家のところにある話が来た、その話はシリアからだった。
「アレッポから?」
「ええ、丁
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