アイングラッド編
追想編
黒の剣士 01
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「……いいえ……あたしが……バカだったんです……。ありがとうございます……助けてくれて」
男が歩み寄ってきて傍らに跪き、再び遠慮がちに声をあげた。
「その羽根だけどな、《心》アイテムのうちならまだ使い魔は蘇生できる」
「え!?」
「最近解ったことだから、あまり知られてないんだ。47層の《思い出の丘》っていう名前の割に難易度の高いダンジョンがあって……『ゴンッ』……いたぁ!?」
見ると、もう1人の男性プレイヤーがあの大きな野太刀の峰で頭をどついていた。
「……まずは移動だ。囲まれてる」
慌てて周囲を見渡すと、大小様々なモンスターが私たちを囲んでいた。
「ほら」
野太刀を持ったプレイヤーがそれを納め、その手を差し出して来る。
「え?」
「走るぞ。キリト」
「おう」
黒髪の剣士が剣を構えて突進の動作をとる……って、まさか!?
と、思ったときはすでに体が宙を浮いていた。
前方にいるキリトが道を切り開き、あたしの手を引いた男性プレイヤーがその間を駆け抜ける。
包囲網が二重三重になっているわけではなかったのでやがて、モンスター達は見えなくなった。
_________________________
35層の主住区に着くと、シリカがフリーとなったことを聞き付けたプレイヤー達が我先にと自分達のパーティーへ勧誘を始めた。
それらを丁重に辞退して行く内に道具屋からここ2、3日参加していたパーティーが出てきた。その最後尾にいた女性プレイヤーと目が合ってしまう。
彼女こそがパーティーを抜け出したそもそもの原因だ。
「あら、シリカじゃない」
「……どうも」
「へぇーえ、森から脱出できたんだ。よかったわね」
ロザリアというこのプレイヤーとはどうにも馬が合わないので、さっさと話を切り上げてたかったが、あちらにはそんなつもりはないようだ。
「あら?あのトカゲ、どうしちゃったの?……あらら、もしかしてぇ……?」
わざとらしく眉をつり上げて先を続けようとするロザリアの首筋にいつの間にか剣が添えられていた。
「お引き取り願おうか」
持ち主の身長程もあるそれを突きつけているのはまだ名前を知らない、銀髪のプレイヤーだ。
「な、なにさ!圏内で刀を向けられたって別に怖く……「黙れ」」
底冷えしそうな低く冷たい声でロザリアを制すと、剣を突きつけたまま続ける。
「雑魚に用はない。こっちは急いでるんだ。去れ」
「……覚えておきなさい」
殺気とし
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