聖夜の天使
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び止めた。
「どうしたの?」
「何か、騒がしくないか?」
今夜はクリスマス。町中もある程度騒がしいのは、至極当然だと思ったが、周囲を見渡せばリゼが疑問を持つのは当然だった。
クリスマスのお祭り騒ぎではなく、疑問符による騒ぎだった。
「何だ?」
しかも、騒ぎ立てているのは一人二人ではない。ロマンチックなひと時を迎えるはずのカップルも、夕食を終えて満足気な家族連れも、誰もが上空の一点を見上げていた。
「おい、あれを見ろ!」
リゼが指さした上空を、ハルトも追った。
雪雲にあった、数少ない切れ間。クリスマスの月明かりがわずかに残る夜空に、一つ。自然のものではない輝きがあった。
白く、美しい輝きが、まるでもう一つの月のように光を放っているが、その光源が人型なことから、「天使」「神」という表現が、人々の中から聞こえてきた。
「何だ、あれは?」
リゼもヘルメットを外して、言葉を失っている。
「何か、すごくきれいだ……」
「……あれは……」
ハルトは目を細くして天使の姿を見る。
やがて、ハルトの目に、天使の美しい白い天衣___などというものではなく、黒く、青いラインの走った体に美しい翼だけが付いている存在が映った。
「まさか……あいつが、エンジェル!?」
「え、エンジェル? なぜ英語?」
思わず口走ったその存在。
それは、高らかに言葉をつづった。
「聞け! 人間ども」
それは、エンジェルの肉声か、それとも電波をジャックして周囲の機械から鳴らしているのか。見滝原を、その声が響いていた。
「今宵は、貴様ら人間の祝うクリスマスだ。主の生誕を祝う行事に、この天使も賛同しよう」
エンジェルの声は、見滝原の全域に行き渡っている。つまり、
片付けの最中の可奈美はラビットハウスを飛び出し。
千夜とシャロとまどかを送り届けた真司と友奈は警戒し。
マヤとメグとさやかの帰宅を確認したコウスケと響は、互いに頷く。
「天使より、人間ども。お前たちへの贈り物だ」
「!」
マシンウィンガーから降りたハルトは、無意識に駆け出した。
「ハルト!?」
「新たなる破壊という名の贈り物だ!」
「変身!」
『ハリケーン プリーズ』
緑の魔法陣を突き抜け、風のウィザードとなって上昇する。
『フー フー フーフー フーフー』
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