聖夜の天使
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「楽しかったね」
ハルトはマシンウィンガーを走らせながら言った。
背中で相乗りをするリゼは、「ああ」と頷く。
「最高だった。こっちに戻ってきてよかったよ」
「それはよかった」
すでに時刻は、リゼのような少女が出歩く時間ではない。ハルト、真司、コウスケでそれぞれ手分けして少女たちを家まで送ることになり、マシンウィンガーを持つハルトは、一番遠いリゼを担当することになった。
「なあ、その……お前は、どうしてラビットハウスで住み込みで働くことになったんだ?」
「藪から棒だね」
「いいだろ。私が働いてたころも、私だけ住み込みじゃなかったんだ。それぐらい、気になる」
「俺……というより、俺と可奈美ちゃんは、たまたまあてもない旅してたんだよ。それで、まどかちゃんのご家族の紹介で、ラビットハウスに住んでいいってことになったわけ」
「そうなのか……」
リゼが、ヘルメット越しにツインテールを弄っている。
「リゼちゃん、そんなに住み込みがいいなら、頼んであげようか?」
「い、いい! 別に、そういうわけじゃないからな!」
「うわ、分かった! 分かったから揺らさないで!」
マシンウィンガーが雪道で大きく揺れる。スリップしないようにスピードを緩め、路肩に駐車させた。
「ふう……結構リゼちゃんって、寂しがりなところあるよね」
「なっ……!」
この発言はすぐに後悔した。
リゼは目を回しながら、ハルトの首を絞めつける。
「ち、違うぞ! 私は別に寂しがってたりは……!」
「リゼちゃん、ギブギブ……!」
「ただ、前からずっとチノとココアの距離を見ていると、何かいいなって……」
「素直に言えば……いいのに」
「う、うるさい!」
「うががが! 息! 息できない!」
ハルトはリゼの手を叩く。ようやく解放されたハルトは、久方ぶりの空気を大きく吸い込んだ。
「ふう……リゼちゃん、そういえばいつまでこっちにいるんだっけ?」
「正月三が日はこっちにいるぞ。そのあとは向こうに戻るけどな」
「そっか……」
ハルトは冬空を見上げる。
「俺も旅、続けられるのはいつになったらなんだろうな……」
「どうした?」
「いや、何でもない。先、急ごうか。冷えてきたしね」
「ああ」
再びリゼが、ハルトの背中にしがみつく。もう一度マシンウィンガーのアクセルを入れようとしたとき。
「ハルト、ちょっと待って」
リゼが背中を叩いて呼
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