第二章
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「このまま出来ればです」
「この子をお願いしますね」
「殺処分の可能性が高いところにもいましたし」
「塞ぎ込んでいるんで」
「はい、徐々にでもです」
ジェニファーも応えた。
「この子を必ず幸せにします」
「お願いします」
「ではこの子を迎えるまでの間もです」
「出来るだけここに来て下さい」
「そうさせてもらいます」
この言葉の通りにだった。
ジェニファーは何度もブルーのところを訪れて彼に優しい顔を向けて声をかけた、そのうえで引き取られることになったが。
「さあブルー行こう」
「ワンワンッ」
何とここまで塞ぎ込んでいたブルーがだった。
犬舎から明るく出て来てそうしてジェニファーの車に乗った、この様子にジェニファーの夫マイクブラウンの髪できりっとした顔の彼は驚いて妻に尋ねた。
「確かこの子は」
「塞ぎ込んでいたけれど」
「それがかい」
「ええ、どうも私が何度か会いに行ってるうちに」
「打ち解けたのかな」
「そうみたいね、じゃあね」
「明るくなったならそれでいいよ」
そう話してだった。
夫は自ら運転してブルーを家に入れた、その間もブルーは窓から景色を見て顔を出したいまでだった。そして。
家では撫でてもらうこと特に腹をそうしてもらうことが好きでだった。
椅子に乗って洗面所の鏡を見て自分の笑顔を見て尻尾を振るのが好きだった、妻はその様子を見て夫に話した。
「騙されたわ、明るい子だなんてね」
「思わなかったんだね」
「ええ、塞ぎ込んでいたから」
「どうやらベッドのプレゼントからね」
それからとだ、夫は妻に話した。
「ジェニファーの想いが伝わって」
「それでなの」
「心を開いたんだ、そして本来の明るさもね」
これもというのだ。
「取り戻したんだ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「ジェニファーのお陰でだよ」
「本来の性格に戻れたの」
「ベッドから暖かさを感じてね」
「そうなのね、じゃあ今日もね」
「あのベッドでだね」
「寝てもらいましょう、寝ることも好きだし」
「それがいいね、じゃあ今からご飯をあげよう」
こう言って夫婦で彼にご飯をあげた、その時も彼もとても明るく犬舎にいた時とは全く違っていた。その顔にもう悲しさはなかった。
ベッドの贈りものにあるもの 完
2021・4・18
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