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レーヴァティン
第百九十九話 関東の政その七

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「千葉や柏もな」
「栄えさせますか」
「大きな街に豊かな村をだ」
 そういったものをというのだ。
「増やしていく」
「関東でも」
「そうしていく、そうした街や村が多ければ多い程だ」
 それだけというのだ。
「国はよくなる」
「それぜよ、力が強くなるには」
 当季も話した。
「金ぜよ」
「そうだな」
「金があればぜよ」
「それが力だな」
「あくまでその価値があればじゃが」
「金のだな」
「物々交換の世の中ならじゃ」
 それならというのだ。
「別ぜよ」
「そうした場合も有り得るしな」
「充分にぜよ」
 当季は英雄に話した。
「貨幣経済が崩壊して」
「そうなるな」
「わし等の世界で言うと核戦争が起こった後ぜよ」
「その時だな」
「もう法律も経済もなくてじゃ」
「モヒカンがバイクに乗って暴れ回るな」
「そんな世界になったらのう」
 それこそというのだ。
「金なんて何の価値もないわ」
「法律もな」
「それで力が支配するぜよ」
「完全な無法地帯ということだ」
「ああなったらぜよ」
 それこそというのだ。
「もう金もじゃ」
「何の意味もないな」
「あと国が金を造れなくなったらぜよ」
 貨幣鋳造、それが出来なくなるとというのだ。かつての日本は宋当時の中国の王朝から多くの銭を仕入れて使っていたのだ。それで中国から銭を入れられなくなると忽ちにして貨幣不足に陥ったのだ。
「そうなったらぜよ」
「同じだな」
「金がないとはこのことぜよ」 
 まさにというのだ。
「国が金を造れん様になったら」
「同じだな」
「そうぜよ」
「その場合もあるな」
「あとです」
 今度は謙二が言ってきた。
「インフレですね」
「それで金の価値がなくなるな」
「はい、一次大戦後のドイツの様に」
「金の価値が暴落するとな」
「貨幣経済は崩壊します」
「そうだな」
「実際に当時のドイツはそうでした」
 所謂ワイマール期のドイツである。
「あの頃のドイツは経済が完全に崩壊していました」
「一次大戦のダメージに巨額の賠償にな」
「そこに世界恐慌も重なり」
「ドイツ経済は完全に崩壊した」
「それこそお店で飲んでいる間にです」
 まさにその間にだったのだ。
「ビール代が上がる」
「そんな風だったな」
「ビール瓶がお金より価値のある」
「車一杯の紙幣で卵一個程度しか買えなかった」
「そうなりました」
 実際にというのだ。
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