第二章
[8]前話
「もうそれは」
「わかっている、けれどね」
「私達はもう決めたから」
夫婦はタミズに答えた。
「もうね」
「そうするよ」
「そうですか。そこまで言われるなら」
それならとだ、タミズもだった。
頷いてそうしてネグリータを引き取った、そして彼を育てていった。その間夫婦はずっと書類手続きをしていった。
そしてだった。
「やっとだな」
「そうね」
夫婦はタミズのメールを確認して笑顔で話した。
「ネグリータがうちに来るな」
「そうなるわね」
「五ヶ月かかった」
「ええ、けれどね」
「うちに来てな」
「一緒に暮らせるわ」
「タミズさんはよくやってくれた」
ほっとした顔になってだ、夫は妻に話した。
「五ヶ月の間な」
「ずっとネグリータを育ててくれたわね」
「そうしてくれた」
まさにというのだ。
「本当にな」
「ええ、有り難いわ」
「お礼をしないとな」
そのタミズにというのだ。
「あの人にも、そしてな」
「ネグリータは今ブラジルを発ったわね」
「あの子を出迎える用意をしよう」
「これからね」
夫婦でこう話してあった、そのうえで。
夫婦は彼を家に迎え入れた、そこで彼に笑顔で言った。
「これからはここで暮らすぞ」
「ここが貴方のお家よ」
「このイギリスでずっと一緒だ」
「そうして暮らしていきましょう」
「ワンッ」
ネグリータも尻尾を振って笑顔で応えた、そうしてだった。
夫婦は彼との生活をはじめた、それは二人にとってもネグリータにとっても最高の幸せに包まれたものだった。
その中で夫は妻に言った。
「あの時私達がツアーに参加して」
「ええ、それでよね」
「あの島に行ったことはな」
「運命だったわね」
「そうだったんだ」
こう妻に話した。
「この子と巡り合うな」
「そうだったわね、それから大変だったけれど」
「あのツアーに参加したのが運命だったんだ」
「今に至る」
「そうだった、じゃあな」
「これからはね」
「この子とずっと一緒だ」
ネグリータを優しい目で見つつ話した。ネグリータはその二人をじっと見ていた。その黒い目には二人へのこれ以上はないまでの愛情があった。
アマゾンからイギリスに来た犬 完
2021・4・18
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