第二章
[8]前話
そのまま仕事に専念した、だがディンディンを助けて一年後のことだった。
何と島にペンギンが来た、ペンギンはジョアンを見ると鳴いてきた。
「クアーーー」
「まさか」
「ディンディンか」
驚くジョアンに若い漁師が言ってきた。
「こいつは」
「そうだな」
「ああ、まさかな」
「こっちに戻ってきたのか」
「そうみたいだな」
ジョアンはこのことに驚いた、だが。
獣医にディンディンが戻ったことを話すとだった、獣医はこう彼に話した。
「ディンディンはマゼランペンギンで本来の棲み処からアルゼンチンまではるばる来るから」
「季節によってか」
「はい、それで」
「ディンディンもか」
「アルゼンチンに来るので」
ジョアンにこのことを話した。
「ここで」
「それでか」
「多分ジョアンさんに助けてもらったので」
「俺に親しみを感じてか」
「来たのかと」
こう彼に話した。
「彼だけは」
「そうなんだな、だったらな」
自分を慕ってはるばる来た、それならと言うのだった。
「俺も応じないとな」
「では」
「ああ、出来る限りあいつと一緒にいるな」
獣医に笑顔で答えた、そうしてだった。
仕事の時と寝る時以外はディンディンと一緒にいた、彼等はいつも仲良く過ごした。だが季節が終わると彼は本来の棲み処に戻った。
そしてまた一年後戻って来た、そうしてだった。
ジョアンはまた彼と共に過ごした、その彼がまた去ってからだった。彼は海に消えた友を見送ってから若い漁師に話した。
「また来年もな」
「ディンディンと一緒に過ごすか」
「そうするな、わざわざここに来てくれるんだ」
それならというのだ。
「もうな」
「これからもか」
「一緒にいるな」
彼がこの島に来た時はというと。
「ずっとな」
「そうか、あいつを助けてよかったな」
「本当にそうだな」
若い漁師に笑顔で応えた。
「お陰で友達が出来た」
「そうだよな、じゃあまた来年な」
「あいつと一緒にいるな」
若い漁師に海を見つつ話した、そうしてだった。
二人で暫く海を見た、友が去ったその海を。来年また会おうと思いながら。
老人とペンギンの絆 完
2021・4・18
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