暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第76話:ベッドの上の彼女
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「ハロー!」
そんな彼に、突然声を掛ける者が居た。グレムリンことソラだ。一体何処から現れたのか、彼は横合いからソーサラーを覗き込むように顔を出し、陽気に――しかし何処か煽るように――笑いかけていた。
彼の登場に、ソーサラーはあからさまに不機嫌そうな溜め息を吐くと歩く速度を速めた。その後ろ姿からは、彼の相手をしたくないといった雰囲気が手に取るように分かる。
ソラもそれに気付きつつ、否、気付いているからこそ更に接近しソーサラーに話し掛けた。肩に腕まで置いて。
「ひっどいなぁ〜、何も無視する事ないじゃないか〜? “僕に対しては”君は喋っても良いんだから、返事の1つは返してくれても良いんじゃない?」
何処か芝居がかったその仕草に、ソーサラーは煩わしいとでも言うように肩を振ってソラの腕を振り払った。
そのまま彼を無視して先を進むソーサラーだったが、次に彼が放った一言でソーサラーは歩みを止めた。
「もしかして〜、彼女と話す事が出来なかった事がそんなに不満? でもしょうがないじゃ〜ん、君とはそう言う契約なんだから〜」
ソラの言葉にソーサラーは足を止める。それを見てソラはにんまりと厭らしい笑みを浮かべ言葉を続けた。
「彼女を守れるようにって、君に力をあげたのは僕らのボスのワイズマンじゃないか。その部下である僕が、君に文句を言われる筋合いはないと思うけどな〜?」
何も言い返せないのか、ソーサラーは俯き拳を握り締める。怒りを抑える彼の姿を、ソラは心底楽しそうに笑って見ていた。
ソーサラーは一度振り返り、自分を笑っているソラを見た。堅く握りしめた拳は今にもソラに殴り掛かりそうに震えていたが、ソーサラーはそれを堪えるように勢いよく踵を返しその場を離れて行った。
去って行くソーサラーを今度は追うような事はせず、笑みと共に見送るソラ。彼の後姿が見えなくなると、ソラは我慢ならないとでも言うようにその場で笑い転げた。
「あっはははははははははっ! ひゃははははははははははっ!!」
誰も居ないエアキャリアの廊下に、ソラの哄笑が響き渡る。彼は一頻り笑うと、目尻に浮かんだ涙を拭いながら立ち上がった。
「あ〜ぁ、面白かった……。さて、それは次は……あっちに行こうかな!」
〈テレポート、ナーウ〉
ソラはウキウキした様子で呟きながら、魔法でその場を転移する。
転移した彼の視界に広がるのは、大勢の人々が行き交う学び舎…………そう、学際真っただ中のリディアン女学院であった。
学院が見渡せるビルの屋上に降り立った彼は、何かを……或いは誰かを探すように見渡し、そして目当ての人物を見つけたのか口元に笑みを浮かべるとその場から跳び下りるのであった。
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