暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第76話:ベッドの上の彼女
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 女性はマリアに負けず劣らず美しい容姿をしていた。髪色こそ違うが、体付きから何までマリアにも劣っていない。年の頃はマリアより少し年下だろうか。

「あ、マリア姉さん――!」
「セレナ、気分はどう?」
「うん、私は大丈夫。マリア姉さんやマム達は?」

 女性の名前はセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。マリアの実の妹であり、F.I.S.の装者の1人である。…………過去の話ではあるが。

 セレナは6年前、マリア達がF.I.S.の施設に居た頃、ネフィリムの最初の起動実験に立ち会っていた。その目的は、起動したネフィリムが暴走した時のストッパーである。

 6年前のネフィリム起動実験にて、ネフィリムは暴走し施設は崩壊。セレナは絶唱を用いる事で何とかネフィリムを押さえる事に成功したが、その代償に絶唱のバックファイアによる後遺症でベッドから殆ど動けない体となってしまった。なまじっかまだ幼い少女に、絶唱の負担は大き過ぎたのである。

 一歩間違えればセレナはそのまま施設の崩壊に巻き込まれ、命を落としていただろう。
 だがそこに現れたのが、1人の魔法使いであった。

 今でもあの時の事はハッキリと覚えている。燃え盛る施設の崩落に巻き込まれそうになった時、光と共に現れた魔法使いは炎と瓦礫からセレナを守りマリアに託した。
 本当ならお礼を言いたかったところだが、残念ながらそれは叶わなかった。魔法使いはセレナを助けた直後、左胸に紫色のコアの様な部位を持つ左右非対称の白い怪人に襲われそのまま戦いながら燃え盛る施設の中へと消えていったからだ。

 あの時の魔法使いは一体誰だったのか? 今となっては見当もつかない。魔法使いはあの時何も語らず、言葉を交わす間もなく別れてしまった。
 出来る事ならもう一度会って、改めて感謝したい所なのだが…………。

「マリア姉さん?」

 突然黙り込んだマリアに、セレナが首を傾げて問い掛けてくる。マリアは慌てて手を振り、考えを振り払うと笑みを浮かべてそれに応えた。

「ん、何かしら?」
「何か悩み事? 急に黙っちゃったから……」
「大した事じゃないわ、気にしないで」

 そう言うとマリアは立ち上がり、セレナの頭を一撫でして部屋を出た。ここに来たのはセレナの見舞い目的であり、それを果たした以上ここに居続けてはいけない。少しでもトレーニングをしようと、シミュレータールームへと向かった。

「それじゃ、ね。セレナ。また来るわ」
「うん、待ってる」

 笑顔で手を振ってくるセレナに笑みを返し、マリアはセレナの部屋を出た。

 セレナの部屋を出た瞬間、マリアの表情が曇った。

(セレナ……ゴメンなさい。本当だったらあなたには、こんな所じゃなくてもっと穏やかな所に居て欲しいのに……)

 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ