第一章
[2]次話
ゴミの中の猫
アメリカペンシルバニア州でゴミの収集作業員として働くマーク=ウィルソンはこの時その仕事にあたっていた。大柄で筋肉質のアフリカ系の男性である。
その時だった。
「何だこれ」
「どうしたんだ?」
「何かあったのか?」
「ゴミが動いたんだ、今」
同僚達にあるゴミ袋を見て言った。
「このゴミ袋がな」
「動くのか」
「そう言えば動いてるな」
「ガサゴソしてるな」
「ちょっと開けるな」
こう言ってだった。
彼はそのゴミ袋、ゴミ置き場の中にあったそのうちの一つを開けた。すると。
「ニャ〜〜」
「猫?」
「子猫だな」
「そうだな」
茶色と黒と白の模様の子猫だった、顔の右半分が茶色で左半分と鼻が黒い。その子猫が中にいたのだ。
マークも他の作業員達もその猫を見て言った。
「まさかと思うが」
「子猫をゴミ袋に入れてか」
「それで捨てたのか」
「とんでもないことをする奴がいるな」
「そうだな」
「ああ、本当にな」
こう言ってそうしてだった。
マークは苦い顔になってそれで言った。
「世の中こんなことをする奴がいるんだな」
「最低な奴がいるな」
「全くだな」
「この辺りにそんな屑がいるなんてな」
「嫌になるな」
「命を何だと思ってるんだ」
「全くだ、けれどな」
マークは今度は強い声で言った。
「俺が見付けた、ならな」
「ああ、その子を助けるんだな」
「そうするんだな」
「そして俺が育てる」
誓い、その言葉も出した。
「そうするな」
「頑張れよ」
「そうしろよ」
「絶対にな」
こう言ってだった。
マークはその猫をゴミ袋から出してそうしてその猫を家に迎え入れた、子猫は雄で生後三週間か四週間位だった。
猫の名前はグランジェッタとした、捨てられていた子猫はマークと一緒に暮らしすくすくと育っていった。
その彼にニューヨークから会いたいと言う人がいた、それは。
「レイモンド=メルヴィルといいます」
「マーガレット=ジェフリーです」
若い白人の二人だった、どちらも淡い金髪で目は青だ。
二人は白地で黒い模様が頭等にある子猫を出した、そのうえでマークに彼の自宅で話した。
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