第一章
[2]次話
猫のいるクラス
トルコのイスミルで小学校の教師をしているオズレム=ブナル=イヴァスク一七一程の背で四角い顔をしていて小さな目を持つ彼は家に雌のトラ猫を連れて帰って妻のマリーシャに対してこう言った。黒髪は短い。
「ニャア〜〜」
「学校にいてね」
「拾ってきたの」
「うん、そうしてきたけれど」
「飼うならいいわよ」
黒髪を長く伸ばしている妻はあっさりと言った。少し肉付きがよく顔には彫がある。
「私も猫好きだしね」
「そう言ってくれてよかったよ」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「学校にいたの」
「ほぼ棲み付いてる感じだったよ」
「じゃあ学校にもいないと寂しくないかしら」
こう夫に言うのだった。
「だから時々でもね」
「学校に連れて行ってなんだ」
「お散歩とかさせてあげたらどうかしら」
「そうだね、学校中をいつも楽しそうに散歩していたし」
夫は学校での猫の様子のことも話した。
「それじゃあ」
「ええ、そうしてね」
そのうえでというのだ。
「やっていったら?」
「それじゃあね」
夫は妻の言葉に頷いた、そうしてだった。
猫はトンビと名付けた、そのトンビをだった。
次の日早速学校に連れて行った、するとトンビは。
彼の後について行って彼が担任をしているクラスに入った、するとそこから全く動かなくなってしまった。
児童達はその彼女を見て言った。
「先生、確かその猫」
「いつも学校をうろうろしている猫よね」
「その猫がクラスに来たんだ」
「そうなんだ」
「うちで飼うことにしてね」
先生は児童達に答えた。
「ただ学校にいたから」
「それでなんだ」
「飼いながら学校に連れて来たんだ」
「そうなんだ」
「これからもそうするよ、ざあ授業をはじめようか」
こう言って児童達に勉強を教えた、すると。
生徒達は自然に成績が上がり生活態度もよくなった、時々トンビを見て休憩時間は彼女と共に遊んでいた。
すると自然とそうなっていった、先生はこのことに喜んでいたが児童の家族から猫がクラスにいると急に噛んだり引っ掻いたり狂犬病はないかという声が出て。
先生は校長にも言われてトンビを学校に連れて行かず家猫にすることにした、すると。
「元気がなくなったな」
「食欲もなくなってね」
夫婦で家でしょげかえっているトンビを見て話した。
「そうなっているわね」
「多分学校に行けなくなってな」
「子供達に会えなくなったからよね」
「トンビにとって学校は居場所の一つでな」
「子供達がいるのが普通だから」
「だからな」
「こうなったのね」
「こうなったら校長に言うよ」
直訴してというのだ。
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