第一章
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最悪の悲しみの後の最高の幸せ
アメリカカルフォルニア州のダウニー動物保護センターにその犬はいた。
名前はスズという、二歳のジャーマンシェパードの雌である、スタッフの人達は大人しく人懐っこいその犬を見て話した。
「こんないい娘なのに」
「ここに捨てるなんて」
「幾ら前の飼い主さんが亡くなってその人のことばかり思って」
「他の人の家のお庭に入る様になっても」
「それでも捨てるなんて」
「あんまりだな」
「この娘なら」
そのスズを見て言うのだった、スズは自分のいる場所に立ってそのうえで非常に悲しそうな顔をしている。
「頭もいいし言って聞かせたらわかるのに」
「そんなこともしないで捨てるなんて」
「薄情な家族だな」
「この娘にはもっといい家族を探してあげよう」
「そして幸せになってもらおう」
「その手助けをしよう」
こう話してスズの新しい家族を探していた、その中で。
「ワンワン」
「あれっ、あの人達は」
「スズの飼い主の家族じゃないか」
「若しかして反省してか?」
「スズを引き取りに来たのか?」
「それはいいことだ」
「幸せにしてもらおう」
懐かしい家族を見て嬉しそうに尻尾を振って鳴いて彼等にとびかからんばかりにフェンスに寄ったスズを見つつだった。
スタッフの人達は思った、だが。
ここでだ、彼等はだった。
スズを無視して他の犬を探した、スタッフ達にも犬を飼いたいと言ったが。
彼等は呆れて彼等の中で話した。
「スズを引き取らないのか」
「無視して別の犬を飼いたいか」
「平気で犬を捨てて平気で別の犬を飼いたいなんて」
「どんな神経しているんだ」
「おもちゃを代えるんじゃないぞ」
「とんでもない家族だ」
「あんな人達が犬を幸せに出来るか」
こう言うのだった。
「そんなこと出来るものか」
「出来る筈がない」
「また気に入らないことがあったら捨てるぞ」
「結局引き取らないで帰ったけれどよかった」
「もう二度とうちに来ないでくれ」
「スズ何て悲しそう」
かつての家族に無視されたスズはというと。
すっかりしょげかえってしまっていた、この話はSNSを通じて世に広まって多くの人が怒り狂った。
「犬を何と思っているんだ」
「犬はおもちゃじゃないんだ」
「家族だったんじゃないのか」
「その家族に何て仕打ちだ」
「こんな家族はセンターから出入り禁止にしろ」
「生きものを飼ったら駄目な人達のブラックリストに載せろ」
「どうせ他の犬も飼ったら捨てるに決まってる」
怒りの声が殺到した、それと共に。
「スズが可哀想だ」
「物凄くいい娘なんだろ」
「そんな娘を放っておくな」
「是非助けるんだ」
「そうするんだ」
「そうした
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