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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第一章 〜再会と出会い〜
その四
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して稟を引き取った人物である。ちなみに稟と楓の仲を全面的に応援しており、今年の六月半ばに三〜四ヶ月間の長期出張に出る際には、『親公認だからがんばるように』という台詞を残している。

「おや? 君は……もしかして柳哉君かい!?」

「はい。お久しぶりです、幹夫さん」

「いや、大きくなったね。見違えるようだ」

「ありがとうございます。でも稟と楓が何か驚いているようですが」

 幹夫によると出張先での取引が難航しており、しかも長引きそうなのでやることの無い自分は一時帰宅してきたのだという。連絡しなかったのは稟達を驚かせるためらしい。なんで自分達の周りにはこんな人達ばかりなのかと頭を抱える稟。自分のことを棚に上げている時点で稟も同類だということには気づいていないようだ。

「さあ、上がって。ちょうどお隣さん達も来ているところだよ」

 幹夫のまさかの帰宅に動揺していた稟と楓はその言葉の意味に気づいていなかった。


          *     *     *     *     *     *


 芙蓉家のリビング。そこには二ヵ月半前からもはや当たり前になってしまった光景が広がっていた。鍛えられたがっしりとした体躯を和風の着流しに包んだ神族の男性と痩身だが鍛えられた肉体を持つ優男風の魔族の男性が杯を酌み交わし、茶色の髪と瞳を持つ神族の少女と蒼い髪に紅い瞳を持つ魔族の少女が苦笑しながらそれを眺め、紫色の髪と瞳を持つ神族らしき少女が無表情でスルメをかじるというシュールな光景。

「よう、稟殿に楓の嬢ちゃん。先に始めてるぜ」

「おや、そこにいるのは確か桜ちゃんと言ったね。稟ちゃんの知り合いには綺麗なお嬢さんが多いねえ。いいことだよ」

「稟くん、カエちゃん、お帰りー。あ、さっちゃんも来たんだ」

「稟様、楓さん、お邪魔しています。桜さんもお久しぶりです」

「……お帰り……いらっしゃい……」

 そしてこの場では唯一事情を知らない彼が完全に硬直していた。その視線は男性二人に向いていた。

「お? 見ねえ顔だな」

「うん? 私達の顔に何かついているかな?」

「……すみません。別にお二方を(ないがし)ろにするわけではありませんが……少しだけお待ち頂けますか?」

 そう言うと彼は稟の肩をがっしと掴み、

「稟……正直に答えろ……」

「あ、ああ」

 以外な反応に動揺気味の稟。

何故(なにゆえ)に神界と魔界の最高権力者が芙蓉家(ここ)に居られるのか説明しろおおおお!」

 叫ぶと同時に稟の肩をガクガクと容赦無く揺さぶる。

「ちょっ……まっ……これっ……しゃべっ……!」

 さすがにこんな状態では話もできない。精神を落ち着けようと稟の肩を離し、呼吸
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