始まりから夏休みまで
☆話はじっくりベッドの上で聞かせてもらう話。
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てるってよ。全体のバランスも悪いしお前みたいに欠点だらけな絵だな。ははっ!唯一の取り柄をダメ出しされまくってどんな気分だ?え?
「…っ!」
空いている左手が頭をおさえる。
ダメだ…このままじゃいつもと同じだ。
勝たなきゃ…トラウマに…勝たないと。
あいつに打ち勝たなきゃ…じゃないと僕は
「マイ。」
その時だ。
ふっ、と頭の中を支配していたあいつが消え失せた。
目の前を見てみれば、鉛筆を握る僕の手、
それを包み込むように、お栄ちゃんの手が優しく置かれていた。
「お栄ちゃん…?」
「ゆっくりやりゃあいい。急ぐ必要なんてどこにもねぇヨ。」
お栄ちゃんに導かれるように、僕の手は真っ直ぐな線をひいていく。
「それにマイは一人じゃない。おれがいるだろ。」
「ひとり…じゃない…?」
「辛いのならおれを頼れ。嫌なことあんならおれに話せ。その為のさあばんと。だろ?」
「…うん。」
描ける。
まだ絵を描くには程遠いけど、線は引ける。
「大丈夫、大丈夫だ。怖いもんは何もねぇ。」
「…。」
直線、曲線。
絵ではないにしろ、少しずつ描いていく。
あの時の楽しさを思い出すように、あの時の感覚を思い出すように。
「とりあえず、今日はここまでだ。んじゃあ飯にしよう。」
「うん。付き合わせてごめんね。」
「なぁんてことねぇサ!マイが言うならおれァいつだって付き合うからナ!」
そういってお栄ちゃんは笑い、作業部屋から出ていった。
けど、
「あ、そうそう。」
「?」
立ち止まり、振り返って僕に聞いてくる。
「もうマイは隠し事はしないって言ったよナ。」
「そう…だけど?」
「まだ隠してないかい?他の事。」
「え…?」
と、今度はニヤニヤとした顔でそう言われるけどもうこれ以上、何も隠してるものは無いし心当たりはない。
「ないよ?」
「そうかい?例えばおれの居ぬ間にでぃるど持ち出して、風呂場であんあん喘いでメスイキしまくってるとか。」
「…!!!」
心臓がドクンと跳ね上がり、顔が一気に熱くなったのが分かる。
けど、なんで、どうして?
どうしてお栄ちゃんがそれを知ってる?
「おや、図星かい?」
「そ、そんなこと…っ!僕はしてないからね!!」
「メスイキの虜になって戻れなくなってもおれは知らねぇヨォ。」
「だからしてないってばぁ!!!」
慌ててお栄ちゃんを追いかけ、本当のことだけどそれはデマだと説得する。
いい感じに終わりそうな話だったけど、結局最後はこうなってしまった。
さぁ、明日も学校だ。
きっとまた、いつも通りの日常がやってくる。
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