始まりから夏休みまで
☆話はじっくりベッドの上で聞かせてもらう話。
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でできない。人と話すことも上手くできない。
友達もあまりいなかったし、内向的な性格だったからいじめられることも多かった。
「親戚の人達からは神童だなんだって褒められてさ、それに比べて弟はなんだって。周りの人からすごく馬鹿にされたよ。」
「腹痛めて産んだ子だろ…可愛くないのかい?」
「お母さんの中では、勉強ができるかできないか、それが大事だったみたいだから。」
「くっだらね。」
何も出来ない僕、
兄より優れたところなんて何一つない僕。
でも、そんな僕にでも好きなこと、出来ることが一つだけあった。
「絵を描くのが…好きだったんだ。」
「絵?」
「そう。絵を描く時だけは嫌なこと、辛いこと全部忘れられた。自分の世界に入り込んだみたいに、キャンパスや紙に自分の感じたもの、好きなものをいくらでも描きこめる。そんな絵が大好きだったんだ。」
絵を描くこと。
それが唯一僕に出来たことだ。
賞もたくさんとったし、それで表彰台にも何回かのぼったこともある。何かすごいところに飾られたことも覚えてる。
でも、僕の目的はすごい賞をとりたいとかそういうものじゃない。
「ただ描きたくて、ずっとずっと絵が描きたいだけだった。ネットに投稿したりもしたけど、褒められたいとかそんなんじゃないんだ。」
「おれやとと様と、似たようなもんか。」
「…かもね。」
絵が描きたい。
とにかく描きたい。
中学に入り、こっそりSNSをやって絵を投稿したりすると顔も知らない大勢の誰かが見てくれる。
そう思うだけで楽しいし嬉しかった。
褒められたいのが目的じゃないけど、やっぱりコメントを残してくれたりするとそれは次の絵を描くための原動力にもなった。
「なんか会社からメールが来たりしてね、うちのゲームのキャラクターデザインをして欲しいとか頼まれたりとかもしたよ。」
「ホー、向こうはまさか学生だとは思ってもないだろうナ。聞くところ順風満帆じゃないか!」
「うん、でもね…。」
色んな絵を描き、リクエストの絵も応え、ちょっとした有名人になりつつあった頃、
とある、事件が起きる。
「兄がそれを知って、母さんに言いつけた。」
「…。」
僕の部屋に兄が勝手に入り込み、絵を見てしまったらしい。
そしたら友達がその絵をネットで見たことがあるとかで、僕のアカウントの存在がバレた。
「あいつも言ってたけど、父さん母さんも絵を描くっていうのが嫌いでさ」
「ああ、言ってた。」
「絵描きは穀潰しと一緒。絵を描いて誰かのためになるの?それはただの自己満足でしょって、昔からそう言われてきた。賞を取った時だってだから何?って感じ。」
「じゃあなんだい?おれととと様は穀潰しか?」
「少なくとも僕はそう思わないよ。母さんは…よくゴッホを例
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