勝手にケーキを切らないで
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れいいね! あたし結構気に入ったかも」
「ココアちゃんが気合入れて作ったからね。ほら、ハルトさんも!」
「あ、ああ。頂くよ」
ハルトは可奈美に急かされながら、フォークでケーキを切る。
「……うん、美味しいね」
「でしょでしょ!」
「可奈美ちゃん、意外と料理とかできるんだよね」
「意外とって何!?」
可奈美が憤慨した。
ハルトはほほ笑みながら。
「だって、君のあの部屋の散らかり具合からして、家事能力あるとは思えないし」
「ひどっ!」
「え? 刀使さん、片付け苦手なの?」
さやかが驚いた声を上げた。
すると可奈美は、顔を真っ赤にして首をふる。
「ち、違うよ! ただ、片付けている最中に、ちょっと剣術の型とかを見たくなって、練習とかしたくなるんだよ!」
「え? よく片付けに集中できない話はよく聞くけど、それが剣のためってのは初めて聞いたかも」
さやかが唖然としている。可奈美は「一通りの家事はできるって……」と弱気に抗議の声を上げていた。
「あの……」
弱々しい声が聞こえてきた。
振り向けば、まどかが紙袋を抱えてきていた。
「まどかちゃん、どうしたの?」
「ココアちゃんがケーキを切る切らないで言い合ってて。みんなでわちゃわちゃしちゃってるから、先に真司さんが持ってきてくれた差し入れ頂いちゃおう? はい、プレーンシュガー」
まどかが大きめの皿に人数分用意してきたのは、砂糖が散りばめられたプレーンシュガードーナツ。可奈美は嬉しそうにそれをもらった。
「ありがとう! あ、真司さんもありがとう! ……って聞こえてないか」
ココアを食い止めるのに必死の真司へ、可奈美は頭を下げる。
ハルトもさやかとともに、プレーンシュガーを受け取る。指に付着する砂糖の量に驚きながら、ハルトはプレーンシュガーを口にする。
「甘〜い!」
隣のさやかが、いい笑顔で声を上げた。
ハルトは目を大きく見開きながらさやかを凝視する。
「ハルトさん? どうしたの?」
「え? ああ、ごめん。何でもない」
可奈美の言葉にはっとしたハルトは咳払いして。
「うん。美味しいね。やっぱり」
「? うん。あ、それで、向こうはまだ終わらないのかな」
ハルトはケーキに注目する。断片的に聞こえる声によれば、「お姉ちゃんに任せなさい!」「ココアちゃん、マメちゃんたちにも多めに振り分けようとしているわね」「やめろ! 私たちの分が!」「リゼしぇんぱい、落ち着いてください!」「皆まで言うな、オレに任せろ!」「うわ〜! ナイフの取り合いに!」とのことらしい。
「……気負いすぎかな……」
ハルトはため息をつき、外の雪景色を見やる。
静かな雪景色は、見滝
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