勝手にケーキを切らないで
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「「「「「「「「「「「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」」」」」」」」」」」
ココアたちが作ったのは、巨大なケーキだった。
如何せん大人数なので、ケーキも圧巻する大きさ。店頭でみる一番大きなケーキの優に二倍はある大きさの生クリームケーキだった。持とうとすれば、両腕を一杯使ってしまう大きさのものが、集めたラビットハウスのテーブル席の上で威厳を放っていた。
「すごいな、これ」
ハルトはそれ以外の言葉が出てこなかった。
「えっへん! お姉ちゃん直伝、特製ラビットハウスケーキだよ! 皆に切り分けるからね!」
ココアは笑顔で皆にケーキを切り分けていく。
「はい! 妹たちには、一杯あげるよ! はい、チノちゃん!」
チノに分けた分を考えれば、明らかに人数分足りない。コウスケと真司が慌ててココアの手腕を止めようとしている。
「ああ、ココアちゃん待って! ここは俺がやるから!」
「皆まで言うな! オレがやるぜ!」
「ダメ! お姉ちゃんに任せなさい!」
「やめろココア! お前に任せておけるか! ここは私が! 軍隊式給仕を見せてやる!」
「リゼ先輩!? 軍隊式のものをここで出さないでください!」
「ココアさん……せめて最初に等分を考えてからにしてください」
「うふふ……。楽しいパーティが誕生したわ」
「まどかちゃ〜ん。ちょっと抱き着かせて」
「うわっ! 響ちゃんどうしたのいきなり!?」
「あっははは! なあメグやっぱりラビットハウスって面白いな!」
「そうだね、マヤちゃん!」
「大丈夫! だったら、私が斬るよ! 斬るのは得意だから!」
「うわー! ダメだよ可奈美ちゃん! 可奈美ちゃんの切るは、ここでやっちゃ駄目な奴だから! 千鳥を持ってこようとしないで!」
切り分け作業が遅々として進みそうにない。
ハルトは離れて、カウンター席に腰を下ろす。
「ふう……」
「参加しないんだ」
そう言ってハルトの隣に腰を下ろしたのは、さやかだった。
ハルトは少し顔を強張らせて、ほほ笑む。
「……少し、疲れただけだよ」
「ふうん……」
さやかは、ドリンクを口に含みながら頷いた。
紙コップに入っているのはコーラ。それをじっと見つめながら、ハルトは口を開いた。
「ねえ、さやかちゃん」
「何?」
「その……生活とか、困ったこと、ない?」
上手く言葉が出てこない。さやかは少しきょとんとした顔をして、くすりと笑った。
「何それ? あたしのこと、どんだけ心配してんのよ」
「……さやかちゃんのままなんでしょ? その……もう一か月くらい経つけど、色々変わんない?」
「うーん、どうなんだろうね」
さやかは足をプラプラさせながら呟いた。
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