八話 攻略組への誘い
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程言われた効率的な狩場の発見も一つですが、その為に役立つことが出来る」
己の行動理念を語るトールの顔に迷いは無い、決断を任せた少年のその表情をアルバは眩しいものを見るかのように、瞳を細めて見守っていた。そしてその隣で、そんな二人の顔を横目で見ていたシュウは何か感じ入るものでもあったのかほんの一瞬眉根を寄せて表情を翳らせ、置いていたグラスを口へと運ぶことでそれを隠した。
「今最前線を支えてくれているプレイヤーの皆さんには申し訳ないと思っています、しかし彼らだっていつまでも戦い続けられるか分かりません。命懸けの日々に疲れる事だってあるでしょう、逃げ出したいと思うかもしれない。そんな彼らを――戦えるのは自分しかいないなんて思いつめさせないためにも――俺達はまだ、攻略組に行くことは出来ません」
「……そうか」
トールの語りを聞き終えたシュミットは生半可な説得で彼の選択を変えることは出来ないのだと悟り、深い諦めの溜め息を漏らす。
「無理強いはできないな」
「すみません、それでも俺は……」
「いや、中層にお前達のようなプレイヤーがいると分かっただけでも良かったかもしれない、こちらの事情はどうせ内輪ごとだ、気にすることは無い」
顔を申し訳なさそうにしたトールを遮り、シュミットは心配をかけさせまいとするように軽く笑ってみせる。終始噂とは異なる、むしろ紳士的な態度で交渉してきたそんな彼にトールら三人も笑い返し、勧誘が決裂に終わった場の雰囲気も和やかですらあった。
「ま、すぐ最前線まで上がってやるからさ、それまで死ぬなよおっさん」
「おっさ……誰がおっさんだ!俺はまだそんな歳じゃない!」
「そうだな、おっさんは言いすぎだろうアルバ、まだ大学生ぐらいじゃないのか?」
アルバとシュウのそんな軽口にシュミットが苦い顔をする。体格こそいい彼だが実際はそんなに老け顔というわけでもなく高校生と言っても通るぐらいだろう、明らかにからかわれているのだがそんなやりとりをトールも窘めるでもなく笑ってみていた。そこに――
「うわごつい装備の人……トール、シュウ、アルバ、話し中?」
少年らには聞きなれた少女の呼び声がかかった。シュミットは振り返り、シュウらは首をまげて声の方、シュミットの背後を見るとそこにはリコとマリエル、そして先日コミュニティに加わったヨルコとカインズの四人が立っていた。
「マリちゃん達か、丁度今話がついたところだよ。カインズさん達と一緒に来たのかい?」
「うん、エルキンさんの紹介で店に来てくれて、これからお得意様になってくれるかもしれないし、売り込みも兼ねて少し話してたの。ヨルコさんからスイーツ系メニューが豊富なショップ教えてもらっちゃったからねー、今度リコと行ってくるわ」
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