八話 攻略組への誘い
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
口にしたシュミットにトールが瞠目する。かなり腹を割って話す覚悟らしい、この勧誘への気の入れようが窺えた。
「かくいう俺も攻略積極派なんだが、これまでの方針維持派とで意見が割れることが多くなってきててな。だが、俺達聖竜が攻略にもっと参加できるようになれば攻略速度には貢献できると思うんだ。《血盟騎士団》が精鋭ぞろいとはいえあちらは三十人もいない少数ギルドだからな」
そこでシュミットは一旦言葉を切り、頭を下げ頼み込む。倣岸で知られる《聖竜連合》の男がそこまでの態度を見せたことにシュウ達三人も驚きを隠せなかった。
「頼む、きっかけが欲しいんだ。うちのメンバーにとってお前達の加入はいい刺激になると思う」
「……解らないな、そんな理由なら尚更、どうして俺達みたいにレベルで劣るプレイヤーを引き込もうとする?」
「この間のデュエルを見て思ったんだ、お前達には華がある」
すっと背を伸ばすとシュミットは表情にうっすら申し訳なさそうな色を滲ませながらも、毅然とした顔つきのままで言葉を続ける。
「失礼だがギルドに誘おうという相手だからな、お前達のことを情報屋に頼んで調べさせてもらった。安全マージンを度外視した上層に三人で挑んで効率的な狩場を見つけて回ってるそうだな、ここの集まりに最も貢献していると有名らしいぞ、それと……アルバートにトール、お前達がパーティの壊滅を経験してなお攻略を目指しているということもな」
シュミットが語った言葉、とりわけアルバとトールの二人に向けて放った最後の部分に彼らは顕著な反応を見せた。触れられたくない古傷に触れられたような苦い表情、加えてシュウとトールは思いがけなかった情報にアルバを見る。
彼らがパーティを組むようになったのは二ヶ月程前からコミュニティで三人が出会ってからのことになる。それまでお互いがそれぞれのスタイルで時には見知らぬプレイヤーとパーティを組みながらアインクラッドで戦ってきたのだろうとは理解するところだった。
デスゲームの開幕から一年以上もの期間、アルバにしてもトールにしても一定の期間固定のメンバーでパーティを組み冒険に繰り出したことは経験があることだ。そしてフィールドでの戦いに身を投じる彼ら剣士系プレイヤーにとって安全マージンという保険をかけていても危険は身近に潜んでいる。
致命的なトラップを踏んでしまうなど不測の事故の類でパーティの壊滅という憂き目に遭ってしまう者達は少なからずいた。そんな中で運良く一人生き残ってしまった者達はほぼ例外なく、目の前で仲間達が死んでいくという強烈な心的外傷を抱えることになってしまう。
そんな精神状態に陥ったプレイヤー達は安全圏である街から出ることが出来なくなってしまうか、この世界への憎しみを募らせ無謀な戦いに臨み自らの命
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ