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ドリトル先生と不思議な蛸
第九幕その十一

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「まだまだだよ」
「まだまだ先で」
「それでだね」
「まだ学ぶ必要があるのね」
「先生も」
「日本語をね、学ぶんじゃなくて馴染むことだね」
 こちらだというのです。
「むしろね」
「馴染むんだ」
「学ぶんじゃなくて」
「今よりも馴染む」
「そうなるんだ」
「そうだと思うよ、そしてね」
 先生はお酒を飲みいよいよ夜の闇の中に入ろうとしている海を見つつお話しました。
「僕は何時かね」
「自然とだね」
「和歌を詠える様になるのね」
「俳句も」
「そうなりたいんだね」
「そう思っているよ、ちなみに新選組の芹沢鴨さんも和歌を詠んでいたよ」
 この人もというのです。
「それが残っているんだ」
「ああ、あの初代局長の」
「あの人だね」
「何か酒乱で乱暴者で」
「とんでもない人だったっていうけれど」
「それがどうも確かに酒乱の気はあったけれど」
 先生は皆に芹沢鴨という人についてもお話しました。
「器が大きくて親分肌で気さくなところもあってね」
「へえ、そうだったんだ」
「只の乱暴者じゃなかったんだ」
「ドラマとかじゃそうした人なのに」
「実際のところは」
「人望があったんだ、しかも腕が立って度胸も凄くてね」
 こうした要素も備わっていたというのです。
「和歌を詠んだことからわかるけれどそれなりの教養もあったから」
「人の上に立つのに相応しい?」
「そうした人だったんだ」
「近藤勇さんと同じで」
「新選組の局長に相応しい人だったんだ」
「だから当時新選組はこの人の派閥が主流で」 
 それでというのです。
「近藤さん達は少数派だったんだ」
「近藤さん達が正しい様に描かれているけれど」
「その実はだったんだ」
「芹沢さんに人望があって」
「多くの人がついていっていたんだ」
「うん、ただこの人は勤皇派でね」
 そちらの人だったというのです。
「その気持ちが凄く強くて」
「あっ、新選組って幕府だから」
「幕府の京都の警察だったし」
「要するに」
「そうした人が新選組のトップだとね」
 勤皇の考えが強い人がです。
「幕府としても困るよね」
「そうだよね」
「しかも人望がある」
「そんな人が幕府の警察のトップだと」
「何時勤皇派につくかわからないよ」
「しかも大勢の人を引き連れて」
「だから闇討ちに遭ってね」
 そうしてというのです。
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