始まりから夏休みまで
兄の話
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い?
それだけで、彼のプライドは傷付いた。
「おい。」
「え、なに?」
「前に俺達、相性ピッタリだねって言ったよな?」
「うん。そうだけど?」
その言葉はあくまで商売上の常套句であることを恋は知らない。
女性相手の経験が圧倒的に足りない彼はそれを本気でそう思い、もしかしたら彼女になれるかもしれない存在だと思っていた。
そしてその自分勝手な思い込みは、ダメな方にはたらいた。
「ヤらせろよ。」
「え、冗談でしょ?」
「俺達、仲良くなれるって言ったよな?相性ピッタリって言ってたよな?じゃあ、いいよな?」
「いや、ちょっと待って、それはあくまで例えてきなやつ?みたいな?ねぇ?嘘でしょ?ほんとにやめてってば…。」
キャバ嬢に詰め寄る恋。
弟に彼女がいたことが許せなかった。
弟にいて、自分にいないのはおかしい。
じゃあ作ればいい。それで既成事実を作ればいい。
女性という生き物はすぐセックスをしたがる。だから問題ない。
前に見たAVにそんなことが書いてあった。
「待って!やめて!!誰か!!誰か助けてーっ!!!!」
「いいだろ?ほら、まずはキスから…。」
抵抗するのは演技。本当はしたくてたまらない。
その知識もAVで得た。
「何してんだテメェ!!!」
しかしそんなところで邪魔が入る。
個室に強引に入り込んできたのは数人のスーツを着た男。
強面でガタイも良い。
そこで恋は、自分のしでかした事の危うさに気付いた。
そして彼は
「おい!待て!!」
外しかけたベルトを締め直し、死に物狂いで逃げ出した。
「なんでだよ…なんでだよなんでだよなんでだよ…!!」
息を切らしながらも恋は必死に逃げる。
おかしい。女というのはヤりたがる生き物だ。
ヤりたがるからAVの仕事もするし、風俗も喜んでやる。
それなのに拒否された。しかも男達にも邪魔された。
おかしい。どうして?それに何で逃げなくちゃいけない?
俺はエリートなのに。父は医者、母は議員。高学歴で金持ちで、偉いはずなのに
「いたぞ!!」
「!!」
しかし、走りの遅い恋はすぐに追い付かれてしまう。
気付けば後ろには黒いスーツの男数人。
「ウチの店の子に手ぇ出しやがって!!」
「捕まえろ!んで警察に突き出せ!!」
なんでだ、
キャバクラはお気に入りの子と好きなことが出来る。そういうお店じゃなかったのか?
今まで性に関する知識から隔離されてきた恋は、今自分が持てるAVや官能小説で得た少ない知識で考える。
が、納得のいく答えは出なかった。
捕まれば死ぬ。そう思い傷む横腹をおさえ、足を無理矢理動かして息も絶え絶えに逃げ続ける。
「あれ…?」
もうダメだと思い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ