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Fate/imMoral foreignerS
始まりから夏休みまで
兄の話
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い?

それだけで、彼のプライドは傷付いた。

「おい。」
「え、なに?」
「前に俺達、相性ピッタリだねって言ったよな?」
「うん。そうだけど?」

その言葉はあくまで商売上の常套句であることを恋は知らない。
女性相手の経験が圧倒的に足りない彼はそれを本気でそう思い、もしかしたら彼女になれるかもしれない存在だと思っていた。
そしてその自分勝手な思い込みは、ダメな方にはたらいた。

「ヤらせろよ。」
「え、冗談でしょ?」
「俺達、仲良くなれるって言ったよな?相性ピッタリって言ってたよな?じゃあ、いいよな?」
「いや、ちょっと待って、それはあくまで例えてきなやつ?みたいな?ねぇ?嘘でしょ?ほんとにやめてってば…。」

キャバ嬢に詰め寄る恋。
弟に彼女がいたことが許せなかった。
弟にいて、自分にいないのはおかしい。
じゃあ作ればいい。それで既成事実を作ればいい。
女性という生き物はすぐセックスをしたがる。だから問題ない。
前に見たAVにそんなことが書いてあった。

「待って!やめて!!誰か!!誰か助けてーっ!!!!」
「いいだろ?ほら、まずはキスから…。」

抵抗するのは演技。本当はしたくてたまらない。
その知識もAVで得た。

「何してんだテメェ!!!」

しかしそんなところで邪魔が入る。
個室に強引に入り込んできたのは数人のスーツを着た男。
強面でガタイも良い。
そこで恋は、自分のしでかした事の危うさに気付いた。

そして彼は

「おい!待て!!」

外しかけたベルトを締め直し、死に物狂いで逃げ出した。




「なんでだよ…なんでだよなんでだよなんでだよ…!!」

息を切らしながらも恋は必死に逃げる。
おかしい。女というのはヤりたがる生き物だ。
ヤりたがるからAVの仕事もするし、風俗も喜んでやる。
それなのに拒否された。しかも男達にも邪魔された。
おかしい。どうして?それに何で逃げなくちゃいけない?
俺はエリートなのに。父は医者、母は議員。高学歴で金持ちで、偉いはずなのに

「いたぞ!!」
「!!」

しかし、走りの遅い恋はすぐに追い付かれてしまう。
気付けば後ろには黒いスーツの男数人。

「ウチの店の子に手ぇ出しやがって!!」
「捕まえろ!んで警察に突き出せ!!」

なんでだ、
キャバクラはお気に入りの子と好きなことが出来る。そういうお店じゃなかったのか?
今まで性に関する知識から隔離されてきた恋は、今自分が持てるAVや官能小説で得た少ない知識で考える。
が、納得のいく答えは出なかった。

捕まれば死ぬ。そう思い傷む横腹をおさえ、足を無理矢理動かして息も絶え絶えに逃げ続ける。

「あれ…?」

もうダメだと思い
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