始まりから夏休みまで
兄の話
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楯突くのかよ?あ?」
我慢ならねぇ。
怒りが込み上げ、自然と足が前に出る。
そして
「ん?なんだおま」
気が付けばタヌキみてぇなそいつの顔をぶん殴っていた。
「ぐばぁ…っ!」
「!?」
メガネが割れ、鼻から血が吹き出す。
周りにいたやつがとんでもねぇ顔してるが知るもんか。
悪いのはどう見ても、こいつだ。
「お、お栄ちゃん!?」
「マイが!!てめぇに!!何をした!!」
一発殴ったくらいで倒れようとするもんだから胸ぐらを掴んで強引に引き寄せ、もう一度その鼻っつらをへし折る。
男は手のひらを突き出してやめてと身振り手振りで伝えようとするがそんなの知るか。
「キミ!!やめなさい!!」
「やめるもんかヨ!マイが人を殴るだァ!?冗談も!休み休み!言いやがれってんだ!!」
土下座をしようと地面に座り込んでいたマイが驚いた顔で見上げている。
そうだ、マイはこんな性格だ。
こいつが警官に事情を話していたがマイは自分から人を殴りに行くような性格じゃない。
もし仮にそうだったとしても、少なくとも先に何かされているはずだ。
「やっ、やめろぉ!俺は…俺は議員の息子、だぞぉ!?」
「知らねぇよそんなもん!!」
拳に力を込め、思い切り殴りぬける。
渾身の力を込めた一発は、まるまる太ったこの男でもほんの少しは吹き飛んだ。
「ぐっ、ぐふっ、あ、あああ…めがね…いたい!いたいぃ!はなぢがとまんねぇ…!」
「…。」
その身体を縮め、蹲る男。
「立て。」
「やだ!!いやだあぁぁぁぁ!!!!!」
おれが冷たくそう言うと、男はびくりとしてより一層その身を震わせる。
「お栄ちゃん…もういいよ。」
「いいやまだだ。なんなら息の根を止めるくらいしねぇとおれの気が済まねぇ。そもそもこのオヤジは誰だい?」
マイがまた止めようとするが、今回ばかりは言うことを聞く訳にはいかない。
というか誰なんだほんとに。
何があったのかは知らないがマイに因縁付けてきやがったこいつは…。
「僕の…兄だよ。」
「…は?」
「言ってなかったよね。僕、兄がいたんだ。」
兄がいた。
別にそういったことに驚いてるわけじゃない。
ただ、これが…マイの兄貴。
見るに堪えない顔に肥太った身体の、豚のようなこのオヤジが?
「兄貴…?聞き間違い…じゃねぇよナ?」
耳の穴をかっぽじってもう一度マイに尋ねるが、マイはうんと頷く。
どうやらこいつは、正真正銘マイの兄貴らしい。
「な、なにみてんだよぉ…!!」
にしても似ていない。似て無さすぎる。
兄弟てのは似るもんじゃないのかい?
でもなんだこれは。まるで違うじゃないか。
「じゃあ、そういうこと
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