始まりから夏休みまで
兄の話
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「どっこにもいねぇナ…。」
マイが出ていった。
絵を描いていることを聞いたら、何か怖がっているような顔をしておれから逃げるように家を出ていった。
前から疑問には思ってたサ。
絵を描かないのにあんな部屋があるって自体、おかしいんだ。
だからこう思った。
マイも絵を描いていたんじゃないかと。
じゃあ昔描いていたんだろうかと聞いても、そもそもマイは昔のことを話したがらない。
昔のことはどうでもいいとか、聞いても面白くないよとか、飯の最中や行為の後に聞いても適当にはぐらかされた。
過去に、何かがあったんだろうか。
おれはマイのさあばんとだ。けど、マイのことはほんの少ししか知らない。
昔のことも、マイが何を考えているのか、何を悩んでいるのか、
性癖を開発するよりもまず、そこから知るべきだったのかもナ。
さて、というわけでおれはマイを探して駅前の広場までやってきたわけだが、そこにマイの姿はなかった。
大方広場のどっかで落ち込んでるだろうと思ったが見込み違いだったみたいだ。
そのときだ。
「だから!!こいつが殴りかかってきたんだ!!俺をいきなりガッと掴んで!」
「わかった、わかったから。」
何やら騒がしい声が聞こえる。
ふとそこに目をやれば、警察官…だったか、そいつらに必死に何かを訴えかけてる太った男が。
「でもそしたら通報の内容と少し違くないかな?」
「本当なんだよ!信じてくれよお巡りさん!!そうだ!パパとママに連絡しよう!ママは政治家で…」
子供のように泣きじゃくりながら何かを言っている中年男性。
見苦しいことこの上ねぇし、さっさとマイを探そう。
と思ったが、そこから目が離せなくなった。
なぜなら
「…。」
「なぁ?そうだよな!?お前が俺に殴りかかってきたんだよな!!」
「…。」
「何『可哀想なのは僕です』みたいな顔してんだ!被害者は俺!可哀想なのは俺!てめぇは加害者なんだよ!!あぁ!?」
明らかに被害者の態度じゃない彼が怒鳴りつけてる相手。
それがマイだった。
「ほら、土下座しろよ。俺とお巡りさんに。」
「…。」
「あの、キミ。」
「いいんですよお巡りさん。こいつは出来の悪いやつだから、このくらいしないと反省しないんでね。」
マイに土下座をさせようとする男。
警察が止めようとするも男は汚ぇ笑みを浮かべたままやめようともしない。
なんだこいつは、
こいつはマイのなんだ?
マイに何させようとしてる?
「ほら、しろよ。どーげーざ!どーげーざ!どーげーざ!お巡りさんもご一緒に!」
「ちょっと待ちなさい!土下座の強要は…。」
「うるせぇ!俺のママは議員だぞ?ママにいいつければてめぇら公務員風情すぐに社会的抹殺できんだぞ?それでも俺に
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