ターン39 伝説の復活
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イルド・ホープ……しかし、それはグランドマンの手のひらの内だった。狙い澄ましての正統派な早撃ちを、白い翼を広げ軽く体をひねり余裕綽々といった態度であっさりと回避したグランドマンが、射撃直後の隙を狙い両腕の銃から正確に一発ずつの閃光を放つ。
わずかに回避が遅れ、突き進む閃光の前に無防備な体をさらすワイルド・ホープ。しかしその間にバッと、目も覚めるような鮮やかな赤色が割って入った。
「えっ!?」
「ほう」
あまりに予想外の出来事につい素の反応を覗かせてしまう鳥居とは対照的に、鋭い反応で声の主……糸巻を睨みつける七宝寺。そうしている間にも赤い和装の麗神が薙刀を構え、ワイルド・ホープを守るべく立ちはだかる。
「なるほどな、糸巻の。さすがに、ここで大人しくしている玉じゃあないか」
「アタシを置いて楽しそうなことやってたんでな、仲間外れってのはよくないんじゃないか?トラップ発動、立ちはだかる強敵。相手の攻撃宣言時にアタシのモンスター1体を対象に、このターン全ての攻撃表示モンスターはそのアタシのモンスターに攻撃をしなきゃならない。炎属性モンスター全員に対し戦闘破壊耐性を与えるリンクモンスター、麗神−不知火をな」
「糸巻さん、何を……」
いまだ理解の追い付かない鳥居に何か答えようとした糸巻だが、瞬時に頭を切り替えてまずは立ちはだかる強敵により地震へと襲い掛かるダメージに対し耐えきることが先だと決めたらしい。歯を食いしばり足を大股開きにして衝撃に備える赤髪の夜叉に、見据える老人が苦笑を漏らす。
「グランドマンの攻撃でダメージを受ける代わりに、続くイゾルデの強制攻撃は返り討ちにしてダメージを稼ぐ魂胆か。肉を切らせて骨を断つ……もう若くもないだろうによくやるねえ、糸巻の。命がいくつあっても足りなさそうだよ」
嘆息とも称賛ともとれる言葉はしかし、だがね、と続いた。
「果たして、そううまくいくかな?速攻魔法、星遺物を巡る戦い。イゾルデをエンドフェイズまで除外し、麗神の攻守をその数値だけダウンさせる!」
「『……っ!』」
麗神−不知火 攻2300→700
2人のイゾルデの姿がフィールドから一時的に消えていき、降りかかった呪いによって麗神の動きがやや鈍る。
もし糸巻が呪言の鏡と立ちはだかる強敵を使わなければ、鳥居だけではこのターンを耐えしのぐことが果たしてできたかどうか。そのことが今のわずかな、しかし息詰まるような攻防だけで分かってしまったがゆえに、鳥居が小さく息をのんだ。
そしてついに、グランドマンの放つ光線が薙刀の一閃とぶつかり合う瞬間が訪れた。
E・HERO グランドマン 攻4200→麗神−不知火 攻700
糸巻 LP4000→500
「ぐっ……がはっ……!」
「『糸巻さん!』」
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