ターン39 伝説の復活
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知火 攻800
「ふむ?」
「そしてアンデット族モンスターの武士、武部、妖刀の3体を上、下、左のリンクマーカーにセット。戦場に開く妖の大輪よ、暗き夜を裂き昏き世照らす篝火となれ!」
3体のモンスターがそれぞれ3つの火柱と化し、さらにそれが中央の武部を軸として溶け合いひとつの巨大な炎へと生まれ変わる。短く揃えられた髪は肩までかかる艶やかな長髪に、纏う装束は炎のそれを基調とした色合いはそのままにより絢爛な正装に、そして手にした薙刀もまた炎の力を得て一回り大きなものへ。
「リンク召喚、リンク3!麗神−不知火!」
麗神−不知火 攻2300
明るく輝く炎が不確かで、そして間違っても順風満帆なものではない未来を、それでもなお照らす篝火のように燃え上がり、糸巻とその隣の鳥居のフィールドを染める。
このまま彼女たちが敗北すれば、世界は何も知らないままに過去を、現在を、そして未来を変えられる。もはや自分たちの時代は明確な終わりを迎えており、これからはようやく芽吹き始めたばかりの新たな世代である八卦たちのものだ。人生の先輩として助言ぐらいはするだろうが、未来の在り方そのものに手を加える資格はすでに自分らにはない。それがすでに幾度となく口にしてきた糸巻の人生哲学であり、このデュエルへの最大の原動力だった。
そしてそれが、七宝寺には理解できない。高い実力と、人目を引く勝気な美貌にスタイル。彼自身自分の娘ほども年の離れた糸巻に対し邪な感情を持ったことはないが、彼女が人前に立つ勝負師としての天性の才能を持っていることはかつてプロ志望としてこの世界の門を叩きにきたその時から一目で理解できた。その見立てが間違っていないことはほかならぬ彼女自身が証明してくれたし、13年前の事故の後も決して腐ることなく常に全てのものに対し悲しくも美しく突っ張っていくその姿からは彼女こそ新たな時代、本来あるべきだった今から取り戻そうとする未来を引っ張っていくにふさわしい人間だと思いすらした。
それだけに、過ぎた過去にすがる老害と成り果てたかつての英雄の姿がただただ悲しかった。
それだけに、未来から心を閉ざしそれを否定したかつての新世代の姿がただただ悲しかった。
「残念だよ、糸巻の」
「アタシも残念だよ、爺さん。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
だから、赤髪の夜叉は思う。せめて、戦い続けて狂気に引き込まれた哀れな老人に引導を渡さねばと。
だから、グランドファザーは思う。この全ての歯車が狂ってしまった世界をあるべき姿に戻さねばと。
「私のターン。さて、まずはそちらの君からかね、ひひっ」
6枚の手札を抱えて老人がぐるりと顔を向けたのは、鳥居。場慣れしたプロの精神力すら上回る本能的な恐怖によって蛇に睨まれた蛙のよ
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