暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第75話:祭りを楽しむ者達
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狙ったところに命中させている。戦闘中という自分も相手も動き回っている中で高い命中精度を誇るのであれば、止まっている的に当てるなど彼にとっては朝飯前だろう。例えそれが何時も使う物とは違う、輪っかなんかであろうと。

 完全最高得点を手にした透は、笑みと共にクリスの方を見た。そこにあるのは勝ち誇った優越感ではなく、やり遂げたと言う達成感であった。これで透がクリスに対して勝ち誇った顔をしたならばクリスとしても対抗心を燃やすなどするのだろうが、こんな清々しい笑みを向けられては機嫌を悪くする気にもならない。

 クリスは溜め息と共に己の中の敗北感を吐き出すと、素直に笑顔で透の好成績を称賛した。

「ったく……スゲェな透! やったじゃんか!」

 クリスからの称賛に、透はこれ以上ない位の眩しい笑みを浮かべて答えた。

 心の底から楽しそうにしている2人の様子を、離れた所からクリスのクラスメート達が出羽亀している。
 が、彼女達は暫し楽しそうにしている2人の様子を眺めると互いに頷き合ってその場を離れた。

「邪魔しない方が良さそうだね」
「賛成。アタシらが踏み込んでいい領域じゃないわ、あれ」

 何と言うか、あまりにも純粋に幸せそうな様子に見守る事すら悪いと言うような気になってきたのだ。

 クラスメート達は最後にもう一度だけ透と幸せそうに笑うクリスの姿を目に焼き付け、静かにその場を離れて行った。

 その事に気付かないまま、クリスは次の出し物へと透を引っ張っていくのだった。




 そして――――――

「調、調! 次はあっちの屋台に行ってみるですよ!」
「うん!」

 ここにも2人、祭りを楽しむ者達が居た。
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