暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第75話:祭りを楽しむ者達
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存在に、年頃の少女達が騒がない訳がない。

 クリスとの関係は何だ等と興味津々に詰め寄られタジタジする透だったが、喋れない彼を助けるべくクリスがその場から彼を引っ張って連れ出したものだから教室に残った少女達は興奮しっぱなしだった。
 何しろ透が来てから見せたクリスの顔は、クラスメート達が見た事のない少女らしい可愛い顔をしていたのだ。有り体に言えば恋する乙女の顔だった。そんなものを見せられて、黙っていろなど出来る訳がない。

 結果、クリスの学友達はあまり余裕のない状況であるにも拘らず人手を一部割いて、クリスと透の様子を見守る――早い話が出羽亀――する為の者を向かわせ、2人の後をつけさせていた。

 そんな者達が付いてきているなどと露知らず、クリスは透と学際を楽しんでいた。

 思えばこうして祭りを楽しむ等、本当に子供の頃以来の事なのだ。颯人と奏以上に、2人が失った時間は長い。その失った時間を取り戻そうとしているかのように、クリスはこの一時を全力で満喫した。

 負けはしたがそれでも楽しそうにしている透。しかし彼にも男としてのプライドがあるのか、負けっぱなしではいられないと次の出し物にクリスを誘った。

「ん? あれで勝負ってか?」

 透が指差したのは輪投げである。単純だが、それ故にテクニックが試される遊びだ。

「いいぜ、今度もあたしが勝ってやる!」

 自信満々に頷くクリスに、透も珍しく好戦的な笑みを浮かべ2人揃って輪投げの屋台へと向かう。

 輪投げは1人ずつでしか出来ないので、先ずはクリスが先にやる事になった。渡された5つの輪っかを、クリスは次々と放り投げ全て外さず別々の的へと引っ掛けていく。

「よし! さ、次は透だ」

 どうだと言わんばかりの笑みを浮かべて透に順番を譲るクリス。透はクリスに続き位置につくと、5つの輪っかを渡される。

 渡された輪っかを、透は真剣な表情で構えた。狙うは一番高得点の、最も奥にあって最も短く、そして最も太いと言う輪投げの的として狙い辛い事この上ない的である。

 輪っかを構え、心を落ち着けた透は軽く深呼吸をして心を鎮めた。

 そして――――――

「ッ!!」

 次の瞬間、次々と輪っかを投げた。投げられた輪っかは綺麗な放物線を描いて飛んで行き、まるでアニメか何かの様に次々と高得点の的に入っていった。その様子は糸か何かで引っ張られていると言われても違和感が無い程である。

「なぁっ!?」
「うっそ〜ん……」

 まさかの完全無欠の高得点に、クリスだけでなく催している学生も言葉を失い絶句する。

「マジかよ……」

 だが考えてみれば、透には出来て当然だったかもしれない。彼は戦闘で良くカリヴァイオリンを投擲武器として扱い、狙い違わず
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