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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第75話:祭りを楽しむ者達
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廃病院に潜んでいたマリア達フィーネに対する制圧作戦に事実上失敗した日の翌日――――
ウィズは新たなアジトにて、先日のライブでグレムリンとの戦闘により負傷して傷を療養していたアルドの看病をしていた。
「どうだ? まだ傷は痛むか?」
珍しく気遣う様な声色のウィズの言葉に、上体を起こしたアルドは口元に笑みを湛えて答えを返した。
「大丈夫です。傷自体大した事はありませんでしたし、明日には動けるようになります」
「そうか。それを聞いて安心した。今しばらく長引くとなったら、お前ならベッドの上でも指輪作りを始めかねないからな」
「そこまで無茶をする性質ではないつもりですが……」
「自分の事は案外分からんものだ。他人に指摘されて分かる事もある」
ウィズからの指摘にアルドは困った様に頬をかくが、直後にウィズ自身にもそれが当てはまる事に気付いた。
「それを言うなら、貴方も人の事は言えないのでは?」
「どういう事だ?」
「何か厄介事を抱えているようでしたので」
アルドからの指摘を受け、ウィズは思わず仮面に触れた。これのお陰で表情は悟られる事は無い筈だが、アルドには何故か感付かれた様だ。己の迂闊さと彼女の勘の良さにウィズは思わず溜め息を吐いた。
――これも付き合いの長さのなせる業か――
これは隠し通すのは無理と判断し――そもそも彼女に対してはそこまで必死に隠すつもりも無かったが――ウィズは先日ソーサラーとの戦闘で感じた違和感と、彼に押し付けられたメモ用紙を見せた。
「これは……?」
「連中に与している魔法使い、ソーサラーと呼ばれる魔法使いに押し付けられた。どう思う?」
問い掛けられて、アルドは顎に手を当てて考え込む。メモ用紙にはこう書かれていたのだ。
『セレナを助けて欲しい。場所は竜巻が教えてくれる』
メモに書かれていたのはたったこれだけ。書いたであろうソーサラーの名前も、それ以外の詳しい事も何も書かれていない。何も知らないものがこれを見ても動きようがなかっただろう。何をして欲しいのかは分からなくも無いが、その為にどうして欲しいのかが全く分からない。
しかし2人には思い当たることがあった。このメモに書かれているセレナと言う名と、その名に執心していた1人の男を2人は知っていたのだ。
「まさか……ウィズ? もしやソーサラーの正体は……」
これだけでアルドもソーサラーの正体に気付き、多くを語らず目線だけでウィズに問い掛ける。それだけで彼女の言いたい事が伝わり、ウィズも神妙に頷いた。
「どうやら奴は生きていたらしい。まさか連中に与していたとは思わなかったが」
「勝手に居なくなって何処に行ったのかと思えば……彼にとて大切な彼女を助ける為に動いていたんですね」
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