クリスマス
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った。初めての顔であるショートカットの金髪の少女は、忙しなく動き回るラビットハウスの現状に唖然として言葉を失っている。
「あの……お客様?」
「みんな仕事してる……」
金髪の少女はその場で崩れた。ハルトはツンツン、と肩をつつくが、彼女に反応はない。
「お、シャロじゃないか。久しぶりだな!」
ホールから、リゼがそう言いながらやってきた。
「リゼちゃん、知り合い?」
「後輩の桐間紗路だ。今日のこのあとのパーティにも出る予定の一人だよ」
「そうなんだ。初めまして、だね。俺は松菜ハルト。ここで十月からバイトさせてもらってるんだ」
「どうも……よろしく」
シャロは、ハルトから差し出された手を弱弱しく握る。力ない彼女を引き起こし、ハルトはリゼに尋ねた。
「えらく無気力だな。この子」
「どうしたシャロ?」
ハルトに変わって、リゼがシャロの肩を叩く。すると、枯れ果てたシャロは水を与えられた植物のように、みるみるうちに蘇っていった。
「リゼしぇんぱい……! 嘘じゃない、夢じゃない……! 本物の、リゼ先輩……!」
「お、おう。年末は帰ってくるって連絡しただろ?」
「ふわぁ……!」
だが、蘇ったシャロという植物は、リゼの手を掴み、その場に根が生えたように動かなくなった。
「おい、シャロ。放してくれ」
「ふわぁ……! リゼしぇんぱい、ラビットハウスの制服姿、やっぱり素敵です……! ああああああ……」
「どこから声を出しているんだろうこの子」
シャロの声にそんな感想を漏らし、ハルトは店を見渡す。
「リゼちゃん。先に、奥でパーティの準備やってたら? シャロちゃんも一緒に」
「いいのか?」
「ここで居座れても困るしね。ココアちゃんに千夜ちゃん、だったっけ? あとマメの二人もいるから、そっちにいて」
「そうか……すまないな。おいシャロ、奥に行くぞ。あ、ハルト。もし人手が必要ならいつでも声をかけてくれ。手伝うから」
リゼはそう言って、シャロとともにホールから姿を消した。
改めて、ハルトは客の回転が速い店内を見渡す。
カウンターにチノ。ホールにはハルト、可奈美、友奈。そして厨房には、今日は姿を見せないオーナーのタカヒロと……きっとココアも手伝っていることだろう。
「よし、もうちょっと! 踏ん張るぞ、みんな!」
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