クリスマス
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「むしろ、皆の笑顔があるから、私は本当に嬉しいよ!」
友奈はそう言いながら、次々とオーダーを取り、会計していく。
彼女の様子を眺めながら、ハルトはオーダーを伝えにカウンターへ赴いた。
カウンターでは、リゼが次々と飲み物の準備をしており、可奈美と友奈が交互に客席へもっていっている。
額を拭ったリゼをハルトはねぎらった。
「リゼちゃん、大丈夫? 休憩したら?」
するとリゼはほほ笑み、
「心配するな。これ程度、軍事訓練に比べたら問題ない」
「軍事訓練って……何?」
普通の女子高生とは無縁だと思うべき単語を頭から振り落とし、ホール業務に専念する。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ。……お、まどかちゃん! 久しぶり」
次の来店客は、ピンクのツインテールの少女だった。鹿目まどか。ハルトが知る限り、聖杯戦争を認知している唯一の非参加者だ。
「お久しぶりです。ハルトさん。あの……この前の……」
「ああ、えっとココアちゃんから招待を受けたんだよね」
「はい。チノちゃんからですけど、私とさやかちゃん。本当は友達ももう一人来るはずだったんですけど、用事があってこれなくなっちゃったみたいです」
「そっか。残念だね。……さやかちゃん?」
その名前に、自然とハルトの顔は強張った。
「そんなに怖い顔して、どうしたの?」
その声とともにまどかの背後から現れたのは、美樹さやか。ニコニコした笑顔を見せながら、まどかに続いて入店した。
「ハルトさんもお久しぶり。……あたしのこと、誰にも言ってないよね」
さやかは小声でハルトに耳打ちする。ハルトは「言ってないよ」と苦虫を?み潰したような顔で答えた。
「……君も参加するの?」
「悪い? あたし、やっぱり信用されていないの?」
「そうじゃないけど……」
「あの、ハルトさん」
店内を見渡し、空席がないことを確認したまどかが声をかけた。
「私たち、やっぱり出直してきた方がいいですか?」
「あ……いや、大丈夫。奥でココアちゃんたちがいるから、そっちに行ってて大丈夫だよ」
「分かりました。行こう、さやかちゃん」
「うぃーっす! それじゃあまたね! 魔法使いさん!」
わざとらしくハルトに手を振るさやか。彼女を見送りながらも、一抹の不安が拭えなかった。
「……何かあったら、コウスケと響ちゃんもいるし、大丈夫だよな……?」
やがて、客足も少なくなってきたころ。
雪もどんどん強まり、外にいるよりも室内にいた方が望ましいと思えるようになってきたとき、新たに店の呼び鈴が来訪者を告げた。
「いらっしゃいませ」
「遅れました!」
客が言ったのは、来訪の遅刻への謝罪だ
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