クリスマス
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
メニューのコピーをもらえれば、オーダーくらいはできるさ。私の制服、まだあるだろ?」
「あるよ。チノちゃん、リゼちゃんが手伝ってくれるって」
「ありがとうございます」
「ああ」
リゼはウインクして、店の奥へ向かった。入れ違いでホールに戻ってきた可奈美と会釈を交わし、そのまま更衣室へ向かったのだろう。
「リゼちゃん? まだパーティは早いけど……」
「手伝ってくれるんだってさ。今は猫の手も借りたいくらいだから、助かるね」
「そうなんだ。あ、コーヒー豆追加したよ」
可奈美はココアに伝えて、ホールに戻る。
午後七時。閉店予定の九時まで、残り二時間。
「うっすハルト! 遊びに来たぜ!」
「お腹空いた!」
「お前らは今来るな!」
大食いコンビを奥へ叩き込み、
「こんちわー! 大変そうだね! 勇者部として私も手伝うよ!」
と言った友奈にはココアの制服を着せてホールを手伝わせる。
「あら? ラビットハウスさん、お客さんも店員さんも一杯ね」
ここで、ハルトにとっては初めてみる顔がやってきた。
長い髪と穏やかそうな顔つき。白い肌と、くりくりとした緑の瞳。
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「いいえ。……ああ、そう。貴方が」
「?」
ハルトをジロジロ見つめる少女はクスリとほほ笑んだ。
すると、背後よりココアの声が飛んできた。
「あ! 千夜ちゃん!」
接客中であることを厨房に置いてきたココアが、少女と両手で手を繋ぐ。
「来てくれたんだ!」
「当たり前よ? だって、折角リゼちゃんも帰ってきてるんですもの」
「嬉しいなあ! あ、ハルトさんは初めてだよね」
ココアは少女に手を向ける。
「こちら、私の親友の宇治松千夜ちゃん! 甘味処の甘兎庵の看板娘だよ」
「初めまして。気軽に千夜でいいですからね? それで、貴方が最近ラビットハウスさんに入った新人さんですか?」
「ああ。そうだよ。松菜ハルト。気軽にハルトって呼んでね」
「よろしくお願いします。ハルトさん。あ、ココアちゃん。あともう一人、新しい妹ができたって言ってたわね」
「紹介するよ! 可奈美ちゃんと友奈ちゃん! あ、友奈ちゃんはホールだから後だね。可奈美ちゃんはどこ?」
「今厨房で皿洗いやってる」
「オッケー。ハルトさん、しばらくここお願いね!」
千夜を連れてラビットハウスの厨房へ向かうココア。彼女を見送り、ハルトは同じくホールで動き回る友奈へ言った。
「ごめんね。手伝わせちゃって。ラビットハウスのお姉様が中々フリーダムな人で悪かったね」
「ううん。全然問題ないよ」
友奈は笑顔で答えた。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ